株式会社わかば(神奈川県横浜市)
神奈川県内を中心に30店舗の薬局を展開。
10年以上も前から在宅医療業務を強化しており、現在約80施設の訪問服薬支援を行う。ジェネリック医薬品推進にも積極的に対応し、既に全店舗でジェネリック医薬品の取り扱いを行っている。
株式会社わかば(神奈川県横浜市)
神奈川県内を中心に30店舗の薬局を展開。
10年以上も前から在宅医療業務を強化しており、現在約80施設の訪問服薬支援を行う。ジェネリック医薬品推進にも積極的に対応し、既に全店舗でジェネリック医薬品の取り扱いを行っている。
平成26年4月より消費税率が8%に引き上げられる。医療機関は、医薬品や診療材料、医療機器などの購入時に消費税を支払うこととなるが、社会保険診療は非課税であるため、最終消費者である患者さんから消費税を受け取ることはできない。従って、仕入れの段階で支払った消費税分(控除対象外消費税)の一部が医療機関の負担となっている。「かかりつけ薬局」としての機能の充実と強化のために調剤業務のさらなる効率化が求められる。その実行のために設備投資が必要であるが、これにかかる消費税分の負担は少なくない。消費税率の引き上げによって控除対象外消費税がこれ以上拡大すると、薬局経営は待った無しに厳しくなる。チェーン薬局ではどのような対応を検討されているのだろうか。
神奈川県横浜市に本社を置き、神奈川県を中心に東は宮城県から西は岐阜県・愛知県のエリアで30店舗の薬局を運営する株式会社わかばは、平成元年の薬局設立以来、今日まで地域に密着した薬局づくりを進めてきた。地域のニーズに応じた多様な薬局づくりを目指し店舗展開してきたわかばでは、漢方専門の薬局から外来対応のない在宅業務中心の薬局、そして総合病院の門前からクリニック対応、そして最近ではショッピングモール内での処方せん応需など、様々なタイプの薬局を運営している。医療環境の変化により薬局を取り巻く環境も大きく変化しているが、環境の変化に柔軟に対応した薬局づくりを進めることで、地域に受け入れられる薬局として存在することを目指している。
わかばではこれからの薬局にとって在宅医療対応とジェネリック医薬品の推進は不可欠と考える。在宅医療については、薬局薬剤師の在宅訪問業務がまだ珍しかった10年以上も前から高齢者医療施設に赴き、入居者や施設スタッフのための服薬支援を行ってきた。現在、約80施設4,000名の訪問服薬支援を手掛けており、手間暇を惜しまない対応で、わかばの在宅業務を希望する施設を増やしている。さらに在宅輸液療法が必要な患者さんへの無菌調剤の応需も早期に実施し、より充実した在宅医療対応を追求している。厚生労働省の政策誘導の方向性が在宅分野へとシフトする中、在宅分野への取り組みを強化することが不可欠となる。
在宅医療への対応は今後さらに強化していく方針である。社会全体として高齢者施設などが増えていく方向にある中、全店舗が対応できるよう目指している。在宅医療対応でも地域密着型であることが不可欠な条件になる。「有料老人ホームの施設が増えたときに、新しい施設でもわかばにやって欲しいと依頼を受けることが一番。仕事を評価してもらっているということ。手間暇を惜しまない丁寧な仕事が次の仕事作りへと繋がっていく」と杉本氏は話した。
ジェネリック医薬品の推進も薬局にとって大きな課題の1つだ。国がジェネリックを使って総医療費を抑える方向にある中で、患者さんに一番近い存在である薬局はきちんと対応すべきと考える。経済面での選択を患者さんに提案できる薬局は、薬局機能評価においても優れているという姿勢のもとで進めている。「在宅医療とジェネリック医薬品の推進、この2つが今後薬局にとって重要な業務となる。経験の浅い薬局にとって難しい在宅医療対応だが、この2つをきちんとやっていけば薬局は悪くはならない。早急に環境整備を進めていく必要がある」と杉本氏は強調する。既に全店舗でジェネリック医薬品の取り扱いを行っており、ほとんどの店舗で後発医薬品調剤体制加算を算定している。
全国の薬局数は5万6千軒を超え、処方箋の受け皿として、薬局が国民にも普及・定着した感がある中、薬局間での競争は厳しさを増している。地域の中での薬局の規模や対応内容の格差が際立ち始めている。大手調剤チェーンや大手門前薬局のように、充実した設備と適切な対応ができる薬剤師を多数配置し、充分な医薬品在庫を持つ薬局が有る一方で、設備も不足し薬剤師の対応や薬の備蓄も十分でない薬局も存在する。支払い金額、費用負担や処方される薬が同じなら、より設備の整ったところに患者さんが流れていくのは必然である。「規模の大小ではなく、いかに地域の中に溶け込んだ薬局を作っていくか。地域医療に貢献できる薬局となれるかが生き残りの鍵になる」と杉本氏は話した。
(2013年11月)