2019年08月01日 15:35
厚生労働省は7月31日、「ロタウイルスワクチンの技術的な課題に関する議論のとりまとめ」を公表した。厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会がまとめたもので、費用対効果の観点から、ロタウイルス感染症を予防接種法の対象疾病とすることには課題があることを挙げ、「対象疾病とするに当たっては、現状の接種にかかる費用を低減することが必要と考えられる」としている。【新井哉】
ロタウイルスに感染した場合、大人は何度も感染を経験しているため、症状がほとんど出ない一方、乳幼児は下痢や嘔吐、発熱、腹痛などの症状が出る。脱水症状がひどい場合、入院して点滴を受けるケースもある。議論のとりまとめでは、こうした症状に触れ、「わが国で入院を要した5歳未満の小児急性胃腸炎の原因を検討すると、40-50%前後がロタウイルスであることが判明している」と説明。ロタウイルス胃腸炎に特異的な治療法はなく、下痢、嘔吐、脱水、発熱への対症療法として「一般的には輸液療法、食事療法が中心となる」としている。
また、秋田、三重、京都の3府県で行われたロタウイルス胃腸炎の調査研究を取り上げ、全国の入院患者数について、年間2万6500-7万8000人が入院していると推計。製造販売承認されている経口弱毒生ヒトロタウイルスワクチン(ロタリックス)、5価経口弱毒生ロタウイルスワクチン(ロタテック)についても、「わが国におけるヒトロタウイルスの95%以上の遺伝子型に起因する急性胃腸炎に対して有効性が実証又は示唆されており、いずれのワクチンも多様な遺伝子型のロタウイルスに起因する重症下痢症に対して発症予防効果を示すものと考えられている」と説明している。
議論のとりまとめには、技術的な課題として「費用対効果の推計」が盛り込まれている。ロタウイルスワクチン接種群の1人当たりの期待費用に関しては「節減できる社会的コストよりも接種にかかる費用の方が大きいという結果であった」と指摘。「現状で入手可能なエビデンスにおいては、ロタウイルスワクチンは費用対効果が良いとはいえないことから、費用対効果の観点からは、現状の接種にかかる費用でロタウイルス感染症を予防接種法の対象疾病とすることには課題がある」と結論付けている。
予防接種法の位置付けなどに関しては「予防接種制度全体の状況も勘案しながら総合的な判断が必要である」とし、引き続き予防接種基本方針部会などで審議することが妥当であるとの見解を示している。
ロタウイルスに感染した場合、大人は何度も感染を経験しているため、症状がほとんど出ない一方、乳幼児は下痢や嘔吐、発熱、腹痛などの症状が出る。脱水症状がひどい場合、入院して点滴を受けるケースもある。議論のとりまとめでは、こうした症状に触れ、「わが国で入院を要した5歳未満の小児急性胃腸炎の原因を検討すると、40-50%前後がロタウイルスであることが判明している」と説明。ロタウイルス胃腸炎に特異的な治療法はなく、下痢、嘔吐、脱水、発熱への対症療法として「一般的には輸液療法、食事療法が中心となる」としている。
また、秋田、三重、京都の3府県で行われたロタウイルス胃腸炎の調査研究を取り上げ、全国の入院患者数について、年間2万6500-7万8000人が入院していると推計。製造販売承認されている経口弱毒生ヒトロタウイルスワクチン(ロタリックス)、5価経口弱毒生ロタウイルスワクチン(ロタテック)についても、「わが国におけるヒトロタウイルスの95%以上の遺伝子型に起因する急性胃腸炎に対して有効性が実証又は示唆されており、いずれのワクチンも多様な遺伝子型のロタウイルスに起因する重症下痢症に対して発症予防効果を示すものと考えられている」と説明している。
議論のとりまとめには、技術的な課題として「費用対効果の推計」が盛り込まれている。ロタウイルスワクチン接種群の1人当たりの期待費用に関しては「節減できる社会的コストよりも接種にかかる費用の方が大きいという結果であった」と指摘。「現状で入手可能なエビデンスにおいては、ロタウイルスワクチンは費用対効果が良いとはいえないことから、費用対効果の観点からは、現状の接種にかかる費用でロタウイルス感染症を予防接種法の対象疾病とすることには課題がある」と結論付けている。
予防接種法の位置付けなどに関しては「予防接種制度全体の状況も勘案しながら総合的な判断が必要である」とし、引き続き予防接種基本方針部会などで審議することが妥当であるとの見解を示している。