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医療・介護ニュース

コロナによる採用への影響「受けている」が26.3%-全国の介護事業所調査

2020年09月07日 17:30

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 介護人材政策研究会が実施した調査によると、全国の介護施設や事業所のうち、新型コロナウイルス感染症による職員採用への影響について、26.3%の施設・事業所が「影響を受けている」と回答した。影響を受けているとした施設や事業所では、新卒・中途採用とも減少が増加を上回っており、ほかの産業の失業者の受け皿としては十分機能していないことがうかがえる。【吉木ちひろ】

 調査は7月26日-8月14日の間に実施。同研究会の会員事業所など全国の289施設・事業所から回答を得た。内訳はデイサービスが30.4%、特別養護老人ホームが23.8%、有料老人ホームが15.6%、グループホームが5.2%、その他(介護老人保健施設や訪問介護事業所、サービス付き高齢者向け住宅など)が24.9%。

 それによると、新型コロナウイルス感染症による職員採用への影響について、26.3%の施設・事業所が「影響を受けている」と回答。ほかに、「今後、影響を受ける可能性がある」が49.5%、「影響はない」が24.2%あった。

 「影響を受けている」と回答した施設・事業所に離職率の変化を尋ねると、「増加した」は18.4%、「減少した」が17.1%、「変化はない」が64.5%だった。離職率が増加していた理由は、「減収により賞与を出せなかったため」「感染リスクによる(特に、高齢の職員が退職)」など。一方、離職率が下がった理由は「転職への不安が高まっている」などがあった。

 また、採用への「影響を受けている」と回答した施設・事業所に新卒・中途採用それぞれの変化について聞くと、「変化はない」が43.4%、「減少した(中途)」38.2%、「増加した(中途)」が15.8%、「減少した(新卒)」が17.1%、「増加した(新卒)」が2.6%だった(複数回答可)。このうち、新卒で採用が減少している理由としては、「コロナ感染拡大により、学校等の開校が遅れている」「他社他業界の面接が進んでいないため、内定待ちなどが続いており、採用面接が思うように進まない」などが挙がった。中途で減少した理由は「職場見学の中断による面接希望の減少」などがあった。

 さらに、「影響を受けている」と回答した施設・事業所の外国人採用方針の変更については、「変更はない(採用する)」が28.9%、「さらに進める」が3.9%だった。これらの方針を取る理由には、人材不足への懸念などが挙がった。一方で、「遅れている」は13.2%で、その理由は「渡航制限のため」や「コロナ禍で採用活動ができなかったため」などがあった。「見送り又は中止する」も7.9%あり、「外国人への依存リスクをコロナを通じて痛感したため」などの理由が挙がった。そのほかに、「外国人の採用を(以前から)検討していない」が35.5%、「雇用対象外」が10.6%あった。

出典:医療介護CBニュース