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医療・介護ニュース

国内検知コロナ一例目「迅速に探知し適切に対応」-国立感染症研究所が疫学調査結果から感染源考察

2020年07月13日 13:15

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 国立感染症研究所はこのほど、日本国内で検知された新型コロナウイルス感染症一例目の患者に関する考察などをホームページに掲載した。「医療機関と地方自治体との良好な連携体制に基づき、第一例目を迅速に探知し、適切に対応できた」などとしている。【新井哉】

 同研究所によると、この患者は、1月3日に中国・武漢市滞在中に発熱を認め、帰国日の同6日、日本国内のクリニックでインフルエンザ迅速診断キット陰性とされ、自宅で療養していた。症状が軽快しないため、同10日に別の病院を受診し、胸部レントゲン写真で肺炎像が確認された。肺炎の症状が改善しないため、同14日に管轄の保健所で行政検査の手続きが取られ、同15日夜に確定診断がなされた。世界保健機関(WHO)には、同16日未明に国際保健規則に基づき症例の発生が通告された。

 この患者は、2019年12月20日に日本から武漢に入り、1月6日に帰国するまで、家族と共に両親・弟家族の家に滞在した。この患者に関しては、「今回の武漢市滞在中に、武漢市において当時の感染源と推定されていた海鮮市場の訪問歴、また中国国内での医療機関の受診歴等、その他のリスク行動はなかった」としている。

 その一方で、この患者の父親が19年12月28日に発熱し、自宅近所のクリニックに通院。「普通の風邪」として治療を受けていたが、1月7日に武漢市内の病院に入院した。「CT画像上の肺炎所見と、入院日に採取された血液の検査における肺炎クラミジアIgG陽性(IgM陰性)によってクラミジア肺炎と診断された」などと説明。患者が武漢市に入った後、19年12月28日に父親が発熱するまでの父親の行動歴も取り上げており、「近所の外出や買い物程度であり、医療機関の受診や海鮮市場への訪問、同居家族を含め明らかに症状のある者との接触歴はなかった」としている。

 父親は妻と次男家族(次男を含め3人)と暮らしており、1月6日に患者とその家族の計4人が帰国するまで、父親の家には計9人が滞在。同3日に患者の妻、患者の弟が発熱していた。

 こうした疫学調査の結果から、患者の感染源について、武漢市の市中で感染したか、クラミジア肺炎と診断された父親が感染源であった可能性が考えられるとしており、患者の発症日(1月3日)を起点とすると、「遅くとも、1月1日には、武漢市において市中感染が発生していた可能性が高い」と説明。父親が新型コロナウイルス感染症であった場合は、「自宅周辺の市中での感染の可能性が高く、遅くとも12月26日には武漢市において市中感染が発生していた可能性がある」としている。

出典:医療介護CBニュース