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医療・介護ニュース

現場従事者らが病院再編統合の見直しを要請-医労連・新型コロナの影響実態調査

2020年04月27日 20:40

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 病院経営への新型コロナウイルス感染症による影響についての懸念が、現場従事者の間にも広がっている。日本医療労働組合連合会(医労連)は24日、全国の加盟組織を対象とした調査結果を公表した。外来患者の減少や空床確保の影響による収入減についての認識を取り上げ、国による手当てなどを要請し、公立・公的医療機関の再編・統合を促進する政策についても転換を求めている。【吉木ちひろ】

 調査は、13-21日に実施。病院を中心とした全国152の医療機関から新型コロナ感染症への対応や、現場の課題、制度への要望などについて集約した。

 病院経営への影響については、新型コロナウイルスに関連して影響がある項目(複数回答)を聞いた。それによると、「外来患者の減少により収入減」と回答した割合が53.3%で最も高く、「空床確保のために収入源」が17.8%、「患者受け入れのための工事・設備のための負担」が14.5%、「院内感染発生による体制縮小による収入減」が13.2%だった。そのほか、個別の回答として「外来でのリハビリ、健康診断の受け入れ中止、定期検査の中止、手術件数減、休床、訪問看護の利用休止などによる収入減」や、「発熱外来設置のための工事・設備負担」「陰圧装置購入等の負担」などがあった。

 医療従事者の間では、「定期昇給の凍結、一時金の減額などが検討され始めている」などの不安が広がり始めているという。

 なお、新型コロナウイルス感染症患者の入院による受け入れについては、「受け入れている」が37.5%、「受け入れていない」が48.7%(そのほかは無回答)あった。「受け入れている」医療機関では、「感染症指定病床があり、重症患者を含め受け入れている」が33.3%、「感染症指定病床はないが、重症患者を含め受け入れている」が15.8%、「軽症者のみ受け入れている」が19.3%だった。

■感染拡大後の職員離職を懸念 医労連は23日に厚生労働省に対して、国による必要物資の供給や財政支援などを求める要請書を送っている。

 森田進書記長は24日の記者会見で、こうした手当てがなければ、感染への不安や風評被害、過重労働による疲弊から、感染拡大が終息した後にも看護師などの離職が続くとの見方を示した。

 このほかに、医師・看護師の需給推計の見直しや介護職員を含めた増員、公立・公的病院の病床削減施策の中止・撤回などを求めている。

出典:医療介護CBニュース