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医療・介護ニュース

統合失調症患者の主体性評価、「尺度ツール」開発-国立精神・神経医療研究センターの研究グループ

2020年04月22日 17:30

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 国立精神・神経医療研究センターはこのほど、精神保健研究所地域・司法精神医療研究部の山口創生・精神保健サービス評価研究室長らの研究グループが、統合失調症を持つ当事者が自分自身の大切にしている価値観に基づいた生活ができているかについて評価する「尺度ツール」を開発したと発表した。【新井哉】

 同センターによると、近年の国際的な共通認識として、精神科ケアでは、再発・再入院しないことなどの臨床的なアウトカムに加え、当事者が自身の価値観を大切にできる主体的な地域生活を送れているかが重要なアウトカムの1つになっている。そこで、山口室長と塩澤拓亮研究員、松長麻美研究員が共同して、当事者が考える「生活における主体性(あるいは主体的な生活)」を測定するツールを開発したという。

 研究グループは、当事者と共同することや、重い症状を持つ人が回答可能な内容とすることなどをキーワードにツールの開発に取り組んだ。研究の第1ステージでは、地域精神保健福祉機構(COMHBO)の協力を得て、全国から当事者(11人)を募り、主体性に関するグループインタビューを実施した。インタビュー内容は、研究グループのメンバーが質的に分析。インタビューに参加した11人に分析結果を確認してもらい、回答のしやすさなどについて他の当事者の意見も参考にしながら、ツールの原案を作成した。

 第2ステージでは、全国18の「assertive community treatment」(ACT)チームにおける統合失調症の当事者195人の協力を得て、尺度ツールの妥当性を検証。分析結果から、研究グループは、5項目の主体性に関する簡易尺度ツールを「Five-item Subjective Personal Agency scale」(SPA-5)と名付け、完成版とした。

出典:医療介護CBニュース