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医療・介護ニュース

「医師の確保目指す」知事の会が発足-医師不足県が共同で6月に国に提言へ

2020年02月03日 19:40

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 青森、岩手、福島、新潟、長野、静岡各県の知事を発起人とする「地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会」(知事の会)が1月31日に記者会見を開き、発足を発表した。厚生労働省が2019年2月に公表した三次医療圏別(47都道府県別)の医師偏在指標において、医師が最も少ない県とされた岩手県の達増拓也知事が呼び掛け人として会長を務める。達増知事は、地域医療構想の実現や働き方改革の推進は、医師の確保が前提条件となるが、都道府県による自助努力では限界があるとして、国に対策を求める方針を示した。6月に会として具体的な提言をまとめる予定。【吉木ちひろ】

 知事の会の活動内容は、▽医師の偏在問題に関する医療関係者・行政の理解促進▽国民の機運醸成▽国への働き掛け-の3点。国の主体的な関与による医師の偏在解消を図る仕組みの構築や、都道府県の枠を超えた調整、研修中に医師が地域医療に携わる機会の導入などを求める。

 達増知事の呼び掛けに、共通の危機感を持つ5県の知事が応じて会の結成に至った。達増知事は会見で、医師の地域偏在を巡る現在の状況について、「ようやく国としても、医師偏在が問題である」という認識が示されたと述べ、「ここで変な方向に進むと、もう二度と医師確保ということをきちっとできなくなるのではないか」という危機感が高まったことから呼び掛けに至ったとした。

 達増知事は、政府が進める「三位一体」の医療改革についても言及。へき地の医療機関の一部診療科では、県庁所在地にある病院の応援によって、週に数回の診療が可能になっている場合があることを例に挙げ、潜在的な医療ニーズはあっても、師不足によって十分なサービス供給ができていない状況があることを指摘した。自治体立や公的な急性期病院の一部に、特定領域の診療実績に応じて「再編統合」を含めた役割の見直しが求められていることに対して懸念を示したもの。

 勤務医の過重労働の問題についても、「医師不足であるが故に生じているところが、かなりある」ことから、優先して解決すべきは医師偏在の解消との認識を示した。 会見に同席していた新潟県の花角英世知事は、地域医療の価値や魅力を学生や研修医にどのように感じてもらうか、地域の方でも仕組んでいくことが必要と指摘。具体的な確保策については「議論を深めたい」などとした。 今後も会としては、共通の課題を持つ自治体への呼び掛けを続ける意向。各都道府県が19年度中にまとめる医師確保計画の内容を踏まえて、20年6月に政府予算編成に向けて具体的な提言・要望を行うとした。

出典:医療介護CBニュース