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医療・介護ニュース

医業承継、関心も「どうしたら良いのかわからない」-日医総研、実態調査結果を公表

2020年01月20日 13:40

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 日本医師会総合政策研究機構(日医総研)は15日、全国の都道府県医師会および郡市区医師会における医業承継に関する実態調査の結果を公表した。過疎地や人口減少地域を中心として、開業医の減少に危機感を持ちながらも「どうしたら良いのかわからない」という訴えがあったことなどを取り上げた。そのほかに、承継に関する相談窓口が設置されている都道府県医師会は6医師会(12.8%)であったことなどを踏まえて、全ての都道府県医師会に医業承継に関する窓口などを整備することを「最優先事項」と提言している。【吉木ちひろ】

 調査期間は2019年の7月22日-8月5日。47全ての都道府県医師会と586の郡市区医師会(回収率70.3%)から回答を得た。

 都道府県医師会では6医師会で医業承継に関する担当部門があるか、担当者を配置していることに加えて、会員に対してそのことを周知していた。周知の有無にかかわらず担当部門があるのは8医師会(17.0%)、担当者を配置しているのは18医師会(38.3%)だった。残りの21医師会(44.7%)では担当部門も担当者も配置していなかった。

 具体的な支援の実施状況については、譲渡・譲受希望者のマッチング業務を3医師会が実施していた。さらに個別案件の支援まで実施している所も1医師会ある一方で、過半数の28医師会は「特に対応していない」と回答した。このほかに、一部で研修会や講演会を実施している医師会があった。また、医師会による直接的な支援ではないが、都道府県のドクターバンク事業の中に位置付けられているとする回答や、都道府県医師会の関連団体である医師信用組合などと役割分担しているという回答もあった。

 医業承継の実態について「おおむねすべて把握している」のは1医師会(2.1%)、「部分的(会員、病院、譲渡希望者のみ等)に把握している」のは9医師会(19.1%)で、「ほとんど把握していない」は36医師会(76.6%)だった。 郡市区医師会の支援状況については、59医師会(10.1%)が譲渡・譲受希望者の情報把握のみ実施しており、481医師会(82.4%)が「特に対応していない」と回答した。実態についての把握状況では、「おおむねすべて把握している」が62医師会(10.6%)、「部分的(会員、病院、譲渡希望者のみ等)に把握している」が218医師会(37.3%)あった。「ほとんど把握していない」は305医師会(52.1%)で、都道府県と比べると実態把握ができている割合が高かった。

 自由記載コメントでは、都道府県医師会と郡市区医師会に共通して日医などに先行事例などの情報提供を求める意見や、財務状況などにかかわる情報であることから地元では対応しづらいといった意見があった。

 日医は15日に開いた定例記者会見で、調査結果などを踏まえて都道府県医師会への支援体制などを整えていく方針を示した。

出典:医療介護CBニュース