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医療・介護ニュース

424病院の役割検証、事実上期限延長へ-厚労省「骨太2020に記載」

2019年12月24日 18:00

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 診療実績が極端に少なかったり近くのほかの医療機関と競合したりしているとして、厚生労働省は、自治体立や公的な全国の424病院の地域での役割を、「再編統合」を含めて見直すよう各都道府県に年明け以降、「できるだけ早期に」通知で要請する。同省は当初、「再編統合」を伴う場合は2020年9月末までに、伴わないなら3月末までに見直しを地域で話し合うよう求める方針を示していたが、政府が同年夏に決定する骨太方針2020に期限を書き込むことになった。見直し期限を事実上、延長する。【松村秀士、兼松昭夫】

 厚労、総務両省と地方三団体による地域医療に関する協議の場が24日に開かれ、地方側が見直し期限への柔軟な対応を要請。国側は「受け止めたい」と応じた。

 424病院は、がんなど9領域全ての診療実績が少ないか、「災害」「へき地」「研修・派遣」を除く6領域が近くの医療機関と競合している自治体立や、日赤などが運営する公的な急性期病院。

 厚労省は、17年度の病床機能報告のデータを使って全国の急性期病院の診療実績を分析し、「再編統合」の議論が特に必要なこれらの病院のリストを19年9月に公表した。同省はその際、「高度急性期」から「慢性期」の4つの病床機能のうち、25年にどれをカバーするかなどの「具体的対応方針」を、「再編統合」を伴う場合は20年9月末までに見直すよう各都道府県に通知する方針を示していた。

 それによって、民間ではカバーできない不採算医療などを自治体立や公的病院に担わせ、各都道府県が25年を想定して作った地域医療構想の実現につなげるのが狙い。しかし、424病院のリストを公表すると、「不安や不満の声が高まっている」などと厚労省への批判が高まった。見直し期限の延長を求める声もあり、柔軟に対応する方針に転換した。

 厚労省によると、「再編統合」には病院自体の統廃合だけでなく、病床規模の縮小(ダウンサイジング)や医療機能の分化・連携・集約なども含まれる。

出典:医療介護CBニュース