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医療・介護ニュース

日医、全世代型社保会議の中間報告に賛意

2019年12月20日 15:45

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 日本医師会(日医)は19日、政府の「全世代型社会保障検討会議」が同日まとめた中間報告を受けて緊急記者会見を開き、見解を示した。横倉義武会長は、中間報告の記載が与党による同会議への提言と比べて、「少し踏み込んでいる点に懸念はある」としながらも、おおむねの方向性について「国民皆保険の理念にのっとられた内容になった」と賛意を示した。【吉木ちひろ】

 全世代型社会保障検討会議では、医療分野の給付と負担を巡る論点として外来受診時の定額負担の在り方が挙げられてきた。日医は、従来の定率負担に上乗せして外来患者一律に一定額の負担を求める仕組みの導入について、受診抑制を引き起こすものとして強く反対し、政府・与党に働き掛けてきた。 19日にまとまった中間報告には、日医が反対の根拠として主張してきた「平成14年の健康保険法改正法附則第2条を堅持しつつ」という文言が盛り込まれ、外来受診時の一律定額負担についての記載は見送られた。横倉会長はこれを、11月8日の検討会議で日医が日本歯科医師会・日本薬剤師会と合同で提言した内容が反映されたものと受け止めているとし、「今後もしっかり守らなければならない」とくぎを刺した。

 一方、中間報告で見直しの方向性が示されたのは、紹介状なしで大病院の外来を受診する際の定額負担額について。患者負担をさらに増額して大病院と中小病院・診療所の外来での役割分担を進めるとともに、その増額分を病院の収入ではなく公的医療保険の財源に回すなどとしている。また、対象の病院を「病床数200床以上の一般病院に拡大」する方針も明記した。

 横倉会長はこの日の会見で、「外来受診時定額負担と大病院の選定療養の仕組みは全く別物」と改めて説明。外来受診時の一律定額負担については社会的弱者への追加負担となると主張し、強く反対する一方で、大病院の外来受診時に定額負担を求める選定療養については「フリーアクセスの乱用を防ぐ」仕組みとする立場を示した。具体的な負担額や詳細設計については中間報告では今後の検討事項とされているが、横倉会長は「検証を重ねた上で厚生労働省での議論」が必要だと述べた。

 このほか横倉会長は、75歳以上の自己負担割合の引き上げや医療提供体制についての記載についても一定の評価を示した。「予防・介護」についてはエビデンスに基づく政策の推進が示されていることについて言及。厚労省や経済産業省が予防に関する政策を進めるためのエビデンスの構築を目指した大規模実証実験の予算を組んでいることについて、日医としても連携を進める考えを示した。

出典:医療介護CBニュース