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医療・介護ニュース

「要介護1・2は軽度者ではない」市民団体が訴え-総合事業への移行反対で要望書、1次署名4100人超

2019年12月02日 20:00

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 要介護1と要介護2の認定者に対する生活援助サービスなど在宅介護サービスの市町村の介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)への移行が介護保険制度改革を巡る議論の俎上に載っていることについて、市民から反対の声が上がっている。市民団体が11月29日に、移行に反対する要望書と署名(第1次分として4159人)を厚生労働相、財務相、内閣府特命大臣に宛てて提出した。要望書の提出後、厚労省で記者会見を開いた呼び掛け人は、「要介護1、2を軽度と呼ぶこと自体に非常に問題がある」などと訴えた。【吉木ちひろ】

 各府省の担当者が市民団体「介護保険を考える会」から要望書を受け取った。署名は10月下旬から1カ月間、高齢者の支援者や介護者の家族、現場の専門職などから集めた。

 呼び掛け人の1人である「ケアコミュニティ せたカフェ」の中澤まゆみ代表によると、厚労省老健局の担当者は、「結論ありきではなく、まだ議論は続いている。総合事業に問題があることは分かっている」という趣旨の回答をしたという。一方、財務省主計局の担当者は、制度の持続可能性や地域の実情に合ったサービス提供といった視点が必要との認識を示したという。

 要望書では、「給付と負担」を巡る議論の中で、要介護1と要介護2の認定者が「軽度者」と位置付けられていることについても反論。専門性を持った介護者による介入があって「今の状態を維持できている人」であり、中重度化しないために介護サービスが最も必要な段階だと訴えた。特に、認知症の人について、要介護1・2の段階で周辺症状によって介護を困難にする行動が起こりがちになることから、単身や高齢夫婦での在宅生活が困難になることを強調した。

 総合事業は2014年の介護保険法改正で創設された事業。この改正によって、要支援1・2を対象とした訪問介護と通所介護が総合事業へと移行された。介護保険を考える会は総合事業による要支援者へのサービス提供について、市町村からの委託を受けている事業者の撤退が続いていることなどを指摘している。

出典:医療介護CBニュース