閉じる

医療・介護ニュース

エボラ輸入の感染研村山庁舎冠水で住民避難を確実に-検討会が報告書、雨水浸透施設の設置も

2019年12月02日 17:15

印刷

 国立感染症研究所は11月29日、「国立感染症研究所村山庁舎の安全対策、災害・事故対策及び避難対応の強化に関する検討会」の報告書を公表した。エボラ出血熱などの危険性が高い感染症の病原体を輸入した村山庁舎(東京都武蔵村山市)について、10月の台風19号で避難経路の雨水が庁舎に流れ込み、敷地の一部が冠水する事態に陥ったことを取り上げ、「住民の避難経路が天候に左右されることなく確実に機能するよう、雨水浸透施設を設置する必要がある」としている。【新井哉】

 報告書では、「特定一種病原体の所持を踏まえて、周辺住民の生活環境に配慮した環境整備が必要な事項」の中で、隣接する公園に抜ける避難経路の冠水対策の必要性を挙げており、冠水防止は「公園の利便性向上にも繋がり、周辺住民の生活環境の改善にも大きく資する取組みであり、早期の実現が求められる」と記載している。

 事故などが発生した場合に備えた対応についても、「PDCAサイクルを通じて安全対策等を検証していく中で、周辺住民の避難路整備の検討等、必要な対策を検討していく必要がある」と指摘。また、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向け、「国際的に脅威となる輸入症例の発生に備え、国立感染研における一類感染症の検査体制を充実・強化する必要がある」としている。

 村山庁舎を巡っては、同研究所が10月12日、台風19号の大雨の影響で庁舎敷地内の西側駐車場・正面ロータリー部が冠水したと発表。エボラ出血熱などの病原体を扱うBSL4(バイオセーフティーレベル4)施設のある8号棟の実験室内への浸水はなかったが、その他の研究施設に関しては「一部施設に扉の不具合」「一部漏水等の影響」があったとしていた。

出典:医療介護CBニュース