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医療・介護ニュース

介護医療院の開設、不十分な助成金などで申請に遅れ-日慢協、移行定着支援加算の期限延長を改めて要望

2019年11月20日 19:50

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 日本慢性期医療協会(日慢協)は会員を対象に実施した調査結果から、介護医療院開設の意向があっても、助成金が十分に整備されていなかったり、施設内の合意形成が十分に進んでいなかったりすることから手続きが進んでいない事業者が存在していることなどを明らかにした。厚生労働省にこうした状況を訴え、2018年度介護報酬改定で介護医療院への移行開設を促す目的で創設された「移行定着支援加算」の算定期限を現行の21年3月末から延長するよう改めて求める考えだ。【吉木ちひろ】

 移行定着支援加算は医療療養病床、介護療養型医療施設、介護老人保健施設が介護医療院へ転換した場合に1年に限り算定できる(93単位/日)。日慢協では、介護医療院への移行が「進んでいるとは言い難い」として、以前から加算の延長や自治体の事務手続きの簡素化・迅速化などを求めてアプローチを重ねてきた。21年3月末時点で介護医療院の開設が完了していても、同加算の算定可能期間が1年に満たない施設について、4月以降も継続して1年間の算定を認めること▽同加算の算定期間を23年度程度まで延長すること-を改めて求める考えだ。

 日慢協は8月、介護医療院への移行が「進んでいない」理由や原因を探ることを目的とした調査を実施。会員487施設が回答した。回答施設の内訳は「介護医療院開設済み」が69施設(14.2%)、「介護医療院申請済み」が26施設(5.3%)、「検討中」が103施設(21.1%)、「移行予定なし」が289施設(59.3%)。「開設済み」「申請済み」「検討中」と回答した施設の元の病床は、介護療養病床が72.6%、医療療養病床1が8.5%、医療療養病床2が7.9%だった=表=


日本介護医療院協会(日慢協内の組織)・鈴木龍太会長の提示資料より


 介護医療院を開設した施設については、申請から開設までに最短1カ月、最長では12カ月と要した時間に開きがあったが、これは個別の事情によるもので、都道府県による偏りは見られなかったという。

 調査では、「開設済み」「申請済み」「検討中」と回答した施設それぞれに「開設に当たり苦労した点、時間がかかった点」を尋ねた。その結果、「開設済み」では「開設申請書の作成」(73.9%)が最も多く、「行政担当官との交渉が頻回」(59.4%)がこれに次いだ。「申請済み」と「検討中」で最も多かったのは「改修・新設の助成金に関して」(申請済み76.0%、検討中42.9%。開設済みでは29.0%)で、助成金が申請のタイミングや意思決定に影響していることがうかがえる。また、「申請済み」では「開設申請書の作成」(52.0%)や「行政担当官との交渉が頻回」(48.0%)、「検討中」では「自施設内の計画設立や合意形成」や「経営への不安」(共に37.1%)、「職員の確保」(34.3%)の割合が相対的に高かった。

出典:医療介護CBニュース