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医療・介護ニュース

障害者雇用、合理的配慮に関する相談が14%増加-労働局長による援助の申し立て、受理件数9倍

2024年07月01日 15:40

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 雇用する障害者に対して、事業所などに義務付けられている合理的配慮に関する相談が増えている。厚生労働省によると、2023年度に都道府県労働局や公共職業安定所(ハローワーク)に寄せられた相談件数は214件あり、前年度から13.8%増加した。今年4月からは雇用の有無にかかわらず、行政機関や事業者へ障害者に対する合理的配慮が義務付けされた。前年度は、対応を周知する情報が数多く発信されており、「背中を押された障害者もいたのではないか」(厚労省担当者)とみる。【渕本稔】

 雇用する障害者への差別や合理的配慮に関する相談件数は全体で245件(前年度比8.9%増)。そのうち障害者差別に関する相談は31件で、前年度より16.2%減ったものの、合理的配慮に関する相談は13.8%増えた。

 雇用する障害者に対しては、16年度から合理的配慮の義務付けが始まった。

 合理的配慮の提供に関する相談内容としては、体調に波があるなどの障害特性について「上司や同僚の理解を得にくい」(26.1%)が最も多かった。ほかにも▽相談体制の整備やコミュニケーション▽業務内容や業務量▽作業負担や移動負担▽就業場所や職場環境-に関する相談内容が目立った。

 また、障害者からの要望も増えている。「職場に専門の相談員を配置してほしい」「就労時間を短くしてほしい」など。ただ、事業者側との話し合いで解決できないケースも少なくない。厚労省によると、都道府県の労働局長による援助の申し立てが受理された件数は、22年度は1件だったが、23年度は9件と大幅に増えた。

 厚労省の担当者は、「合理的配慮は障害者の特性によってケースバイケースで話し合いを重ね、解決に向けて折り合いをつけてもらう必要がある。そのため、今後も一定程度の相談や援助の申し立てが出ることが予想される」との認識を示している。

出典:医療介護CBニュース