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医療・介護ニュース

財務省主張は「相変わらず恣意的」、日医・横倉会長

2019年11月01日 18:40

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 日本医師会(日医)の横倉義武会長は1日、緊急記者会見を開き、同日に開かれた財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の財政制度分科会における財務省の主張に対して、「(根拠とするデータが)相変わらず恣意的である」などと反論した。診療報酬本体の引き下げ要望に対して、医療従事者の人件費を十分に確保する観点や、医療従事者の比率が高い地方経済の活性化といった観点から強く反発する姿勢を示した。【吉木ちひろ】

 財務省は2020年度の診療報酬のマイナス改定を求めるに当たり、診療報酬本体の改定率が近年の賃金や物価と比べて高水準で推移していることを根拠としている。横倉会長はこれに対して、「どの年度を起点とするかで、この指数は大きく異なってくる」と反論。データを示しながら、第2次安倍政権が始まった12年度を起点とすると、18年度時点の診療報酬本体の水準は賃金や物価指数よりも低くなると指摘した。財務省と日医はそれぞれが18年度の診療報酬改定前にも同様の主張をしており、横倉会長は「反論をしておかないと、既成事実となってしまう」として、改めて自らの主張に理解を求めた。

 会見で横倉会長は、西村康稔・経済財政政策担当相が10月23日の経団連の会合で、産業界に対して賃上げの継続を要請したとの報道にも言及。こうした動向を踏まえてみても、「医療従事者にも適切な手当てを行うことが必要」と主張した。

 また、財務省は診療報酬の改定率について、病院と診療所の間に差をつけることも求めている。横倉会長は、一般病院と診療所の収益率に差があるのは、消費税8%への引き上げの診療報酬改定による補填不足の影響によるものだと述べ、厚生労働省が公表する医療経済実態調査の結果を踏まえた判断が必要との認識を示した。

出典:医療介護CBニュース