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医療・介護ニュース

重心型児童発達支援施設、9割強で「並行通園が必要」-保育園などでの受け入れ体制に課題

2024年05月31日 14:30

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 重症の心身障害児が通う重心型の児童発達支援施設(151施設)の9割強で、保育園などの集団の中で生活習慣やコミュニケーションを学ぶ療育を行う「並行通園」が必要だと考えていることが、日本小児科学会が30日に公表した調査結果で分かった。一方、並行通園を実施している施設の約3割では、「園から子どもに対する情報共有がない」との回答があり、保育園などとの連携や情報共有が進んでいない現状が明らかとなった。【渕本稔】

 調査は重心型児童発達支援施設(259施設)を対象に、2023年4月1日-5月31日にWebアンケートを実施し、151施設から回答があった。そのうち98%で喀痰吸引や経管栄養などの医療的ケアを要する医療的ケア児の受け入れを行っていた。

 保育園などとの並行通園を実施しているのは87施設(57.6%)あり、そのうち29施設(33.3%)では園などから子どもに対する情報共有がないと回答していた。

 並行通園の必要性を尋ねたところ、回答した140施設のうち134施設(95.7%)が「必要である」と回答。並行通園を行っていないところも含めて、大半の施設で並行通園が必要だと考えていることが明らかとなった。

 一方、調査の中では、保育園などで子どもを受け入れる姿勢や方針が定まっていなかったり、情報共有に消極的なことを指摘する声や、保育園に勤務する看護師の医療的ケア児に対する知識が十分でないといった意見などが数多く聞かれており、保育園などで並行通園を実施する体制が十分でないという課題が浮き彫りとなった。

 また、都道府県や政令指定都市レベルでの重心型児童発達支援間のネットワークが「ある」と回答したのは58施設(38.4%)で、市区町村レベルの福祉・教育機関とのネットワークがあるのは52施設(34.4%)と共に4割を下回っていた。

 調査を実施した日本小児医療保健協議会重症心身障害児(者)・在宅医療委員会は、ネットワークが形成されない要因として、「中心となる団体がない」ことを挙げている。ネットワークの運営では自治体の関与が欠かせないことから、関係機関をつなぐ役割を果たす中心的な組織を設置する上でも行政側のサポートが必要になるとの見解を示している。

出典:医療介護CBニュース