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医療・介護ニュース

気候変動の課題解決へ、WHOのパートナーに参加表明-熱中症など健康被害を軽減する保健医療システム目指す

2024年05月29日 18:20

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 厚生労働省は28日、スイスで開催中の世界保健総会で、WHO(世界保健機関)が事務局を務める「気候変動と健康に関する変革的行動のためのアライアンス」(ATACH)へ正式に参加することを表明した。気候変動による自然災害や熱中症などの直接的な健康被害も多発する中、課題解決に向けた取り組みを推進すべく国際的な議論に加わる。【渕本稔】

 ATACHは、2021年に開催された第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)で設立され、各国の知見や取り組みの好事例などを共有し、気候変動に強い持続可能な保健医療システムの構築を目指す。

 厚労省がATACHへの正式参加を表明した背景には、気候変動による健康被害について議論する国際的な機運の高まりがある。

 23年12月にアラブ首長国連邦(UAE)で開催されたCOP28では、気候変動に関する一連の会議の中で初めて一日を通して「健康」について議論する「ヘルスデー」が設けられ、各国の保健大臣が気候変動による健康被害やその対策、取り組みなどについて議論が交わされた。

 23年5月に日本が議長国として開催したG7(主要7カ国首脳会議)広島サミットでは、人と動物と環境をそれぞれ管轄する厚労省と農林水産省、環境省の連携を強化して気候変動に関わる施策を検討する「ワンヘルス」の取り組みを紹介し、各国・地域でも分野横断的な「ワンヘルス」のアプローチが推進されつつある。

 内閣府の担当者は「気候変動による健康被害をどう軽減していくかに関心が高まりつつある中、他国の施策から学ぶことは大いにある。その一方で、ワンヘルスのような日本の取り組みを他国へ共有する意義も大きい」と話している。

 年内にATACHの会合が開催される見込みで、厚労省は正式な参加表明後に初めて各国の議論に加わることとなる。

出典:医療介護CBニュース