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医療・介護ニュース

手術時の視野確保を容易にする接着材を開発 岡山大-組織を傷つけずに接着・脱着が可能

2024年05月27日 14:28

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 岡山大は24日、臓器への瞬間接着や脱着を容易に行える無機セラミックス系固体接着材を開発したと発表した。この接着材を用いることで、術野確保のために臓器や組織を除く「圧排」や、医療デバイスの固定など外科処置の簡便化を期待できる。【渕本稔】

 岡山大や神戸大などからなる研究グループが開発した新たな接着材は、骨の主成分のリン酸カルシウムの粉末が原料。リン酸カルシウムの微細ナノ粒子を合成した後に、加熱処理を施し、小さな「空孔」が数多く存在する「多孔質構造のプレート」を作製。この多孔質構造の中に生体組織の水分が吸水されると、臓器表面の線維性分子が効率良く引き寄せられ、高い接着能力を発揮する。

 生体組織との接着能力を検討したところ、水分の移動を大きく妨げる角化層のある表皮には接着しなかったが、角化層のない真皮や腹腔内の臓器には高い接着力を示した。接着力の強さは、生体組織に従来用いられているフィブリン系接着剤の3倍以上だという。

 接着材を外すときは、接着表面に大量の水分を供給することで組織を傷つけることなく容易に脱着できる。

 この接着剤を臓器や組織に軽く圧接するだけで瞬時に接着でき、取り外しも容易なため、研究グループは、外科手術時の視野確保や医療用デバイスの固定など、外科処置を簡便・効率的に行えるほか、「体内への埋め込みデバイスの固定といった活用法も考えられる」とコメントしている。

出典:医療介護CBニュース