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医療・介護ニュース

超早期段階のアルツハイマー病を血液から予測-臨床情報との組み合わせでさらに精度向上 東大

2024年05月23日 16:20

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 東大の研究グループは23日、アルツハイマー病(AD)の原因物質とされるアミロイドベータ(Αβ)の脳内蓄積を血液バイオマーカーによって超早期の段階から高精度で予測できたことを発表した。血液バイオマーカーが実用化されれば、ADの早期治療や予防への取り組みが大きく進展する可能性がある。【渕本稔】

 研究グループは、ADのプレクリニカル期(無症状期)と軽度認知障害(MCI)の474人の血液検体を使用。Aβやリン酸化タウなどの病因タンパク質をバイオマーカーとして定量し、アミロイドPET検査による画像検査と比べてAβの脳内蓄積をどの程度正確に予測できるかを検討した。

 その結果、認知機能正常群やMCI相当群、全体を対象にしたいずれの解析でもアミロイドPET検査による画像検査と比較して8-9割程度の識別能が得られた。また、年齢や性別、ADの発症リスクが高いとされるApoE遺伝子情報などを各バイオマーカーに組み合わせることで識別能はさらに向上し、極めて高い精度で予測できることが分かった。

 ADの治療を巡っては、進行を遅らせる新薬「レカネマブ」の製造販売が2023年9月に承認され、早期のAD患者を対象に治療が始まっており、脳内Aβの早期検出が重要になってきている。

 しかし、現在採用されているアミロイドPET検査や脳脊髄液検査によるバイオマーカーの測定は実施可能な医療機関が限られ、費用が高額なことや侵襲性を伴うことも課題となっている。

 研究グループは「血液バイオマーカーが実用化されれば、より簡便に早期の診断が可能になるため、ADの早期治療や予防に貢献できると期待している」としている。

出典:医療介護CBニュース