閉じる

医療・介護ニュース

HPVワクチン、接種対象の4割が存在知らず-安全性に関する情報提供にも課題 厚労省

2024年05月22日 18:58

印刷

 厚生労働省は22日に開催された厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の会合で、子宮頸がんなどを引き起こすヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防するHPVワクチンについて、接種対象者となる女性の約4割が「知らない」とする調査結果を公表した。同ワクチンの接種方法については、半数以上が「知らない」と回答した。【渕本稔】

 厚労省が2月29日-3月4日に実施した調査では、接種対象となる1997年4月1日から2012年4月1日までに生まれた女性6,000人と、05年4月1日から11年4月1日までに生まれた娘を持つ母親2,800人に、HPVワクチンや子宮頸がんについての認知や認識などについて聞いた。この中で、接種対象者の36.1%がHPVワクチンを「知らない(聞いたことがない)」と回答。母親も14.4%あった。

 HPVワクチンの接種経験がある2,198人(接種対象者)のうち、接種した理由として最も多かったのは、「HPVワクチンは有効だと思っているから」(36.9%)だった。次に多かったのは「子宮頸がんは危険だと思ったから」で35.4%。ほかにも「母親に接種を勧められたから」(34.0%)▽「公費で接種できたから」(23.1%)▽「接種の案内が送られてきたから」(20.4%)-などの回答が目立った。

 HPVワクチンの接種を巡っては、13年4⽉に定期接種化されたものの、接種後に疼痛などを訴える⼥性が相次ぎ、国が接種の積極的な勧奨を差し控えた。その後の研究などから、ワクチンの安全性について特段の懸念が認められず、副反応のリスクをワクチンの有効性が明らかに上回ることなどが確認されたため、国は22年4⽉から積極的勧奨を再開した。しかし、「HPVワクチンは安全である」という質問に対しては「どちらともいえない」とする回答が、それぞれ半数を超えており、安全性に関する情報提供が十分でない現状が浮き彫りになった。

出典:医療介護CBニュース