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医療・介護ニュース

SIB活用で要介護度の維持・進行抑制、大牟田市-経産省の事業化支援で民間ノウハウ活用

2019年10月31日 18:40

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 福岡県大牟田市(2019年10月時点人口11万3,880人、高齢化率36.4%)内全ての通所介護と通所リハビリテーション事業所を対象として、利用者の要支援・要介護度の維持・進行抑制を目指す事業が始まった。経済産業省がソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)を活用して事業化支援に関わっている。利用者の要支援・要介護度の維持・進行抑制の度合いに応じて、事業を受託した事業者に対価を支払う。【吉木ちひろ】

 SIBは、行政が抱える社会的な課題に対して、民間事業者のノウハウや資金を活用して解決を図る成果連動型の官民連携事業。神戸市の糖尿病性腎症重症化予防事業や、東京都八王子市と広島県の大腸がん検診受診勧奨事業などが先行する。経産省では16年から地方自治体に対して事業化支援を行い、ヘルスケア領域での活用を推進してきた。

 大牟田市の事業では、自治体や保険者などに対して介護予防事業の企画・運営・評価などを手掛けてきた、くまもと健康支援研究所(熊本市)が、大牟田市内にある通所介護や通所リハビリテーション事業所のサービス内容や利用者の状態について分析を実施。サービスの改善方法について提案や指導を行うことで、利用者の要支援・要介護度の維持・進行抑制を目指す。総事業費は約1,360万円。

 実施期間は19年度から22年度までの4年間。単年度ごとの成果に応じて市がくまもと健康支援研究所に対価を支払う。大牟田市によると、初めの2年間は市内の通所介護と通所リハビリテーション事業所を対象に同社が事業説明会の開催、個別介入などを行い、その参加率や同社の「セルフケア支援定着ツール」の導入事業所数などを成果指標に設定している。21年度は、これらに加えて同社が介入した事業所の要支援1・2の利用者を対象に、▽生活機能▽運動機能▽栄養▽口腔機能▽閉じこもり▽認知機能▽うつ-のリスクを維持・改善した割合を検証して成果指標とする。最終年度は大牟田市全ての通所介護と通所リハビリテーション事業所の利用者を母数として、同社が非介入だった場合と比べて要支援・要介護度が改善・維持できた度合いを比較する。改善率が10%に満たない場合は、市からの対価は支払われない。
大牟田市の事業スキーム(経産省ホームページより)

出典:医療介護CBニュース