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医療・介護ニュース

日本人の腎細胞がん、7割に特徴的な変異パターン-過去最大の症例数で全ゲノム解析 国がん

2024年05月16日 18:19

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 日本を含む11カ国の国際共同研究で、過去最大となる962例の腎細胞がんのサンプルに全ゲノム解析を行った結果、日本人の7割に他国ではほとんど見られない特徴的な変異パターンが検出されたことが分かった。研究に参画した国立がん研究センターが14日に発表した。【渕本稔】

 腎細胞がんの発症頻度が異なる11カ国から収集した962例のサンプルを解析した結果、日本人のサンプルでは72%に特徴的な点変異のパターン「SBS12」が検出された。

 DNAやRNAの塩基配列が1つだけ置き換わる点変異のパターンは「SBS」(Single Base Substitution Signature)と呼ばれ、今回日本人の腎細胞がんの多くに検出されたSBS12は、他国のサンプルでは2%程度に留まっていた。

 研究グループによると、SBS12を誘発する要因は現在のところ不明だが、遺伝子変異のパターンから、外因性の発がん物質(環境要因)の可能性が高いことが示唆されたという。

 国がんではSBS12の原因物質を解明するため、国内の各地から腎細胞がんのサンプルを収集し、全ゲノム解析を行う多施設共同研究の計画を進めており、腎細胞がんの新たな予防法や治療法の開発につなげる考えを示している。

出典:医療介護CBニュース