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医療・介護ニュース

iPS細胞から作製した心筋球移植の不整脈軽減-信州大や慶應大など

2024年04月26日 19:27

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 信州大や慶應義塾大などの研究グループは26日、Heartseed(東京都)との共同研究で、ヒトiPS細胞から作製した心筋球移植による心臓再生を行い、移植後に発生する心室性不整脈の軽減に成功したと発表した。【栗原浩太】

 ヒトiPS細胞は、理論的に体を構成する全ての細胞種へと分化できる多能性を持つことから、体外で作製した治療細胞を体内に移入することで「再生医療」の実現が期待されている。しかし、ヒトiPS細胞から分化した心筋細胞を移植後に心室性不整脈が発生することが課題だった。

 共同研究グループは、臨床用のヒトiPS細胞から臨床グレードの培養液を用いて、高純度の心筋細胞(主に心室筋)を製造し、微小心筋組織塊(心筋球)を作製。心筋梗塞を発症したカニクイザルにその心筋球を移植したところ、移植した心筋細胞が長期にわたって生着し、サルの心機能を回復させることに成功した。また、従来の報告と比較して移植後に発生する心室性不整脈の副作用が格段に少ないことを明らかにした。

 研究成果に基づき、ヒトを対象とした臨床治験(LAPiS試験)が既に開始されている。

 信州大医学部再生医科学教室の柴祐司教授は、「臨床応用が進行し、心臓移植しか治療方法がなかった患者の皆さまに新しい選択肢が生まれることを期待している」と語った。

出典:医療介護CBニュース