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医療・介護ニュース

商業施設での購買意欲の刺激にPHR活用サービスが一役-データ連携でクーポンやポイント付与、経産省の実証事業

2024年03月22日 10:00

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 体重や血圧、運動記録などの測定データを活用し、生活習慣の改善支援などのサービスを提供する民間PHR(Personal Health Record)の実証事業で、商業施設を訪れた人の行動変容を促し、野菜や健康関連食品などを含む購買金額が約1割上昇した。経済産業省が総務省、厚生労働省との合同検討会で報告した。【渕本稔】

 実証事業は2023年10月-24年1月に実施され、三井不動産を主体にカゴメ、アシックス、リンクアンドコミュニケーション、三井不動産商業マネジメント、UDCKタウンマネジメントが参加した。

 「ららぽーと柏の葉」(千葉県柏市)の来館者に対し、手のひらをかざすことで野菜の摂取レベルを測定できる「ベジチェック」(カゴメ)やカメラ・センサーに向かって歩くだけで歩行姿勢をチェックしてくれる「歩行姿勢測定」(アシックス)、食事や運動の記録などができる健康管理アプリ「カロママプラス」(リンクアンドコミュニケーション)を提供。「カロママプラス」にデータを連携すれば、施設のクーポンおよびポイントを獲得でき、健康管理による改善結果もポイントに転換される。

 424人が参加し、各サービスを通じて野菜不足の解消や運動・食事内容の見直しなどを提案。満足度および継続利用希望、送客効果を調査した。

 アンケートにより、サービスの継続利用を希望したのは「ベジチェック」84%、「歩行姿勢測定」73%、「カロママプラス」77%で、参加者の9割以上が「サービスを利用できなくなるのは残念」と回答した。

 424人のうち、三井ショッピングパークのポイント連携により過去の購買履歴があった166人を対象に、野菜や健康関連食品などを含む購買金額を前年度と比較したところ、4カ月の事業実施期間の合計購買金額は1人当たり6万5,438円から7万2,448円に増えた。

 経産省の担当者は、今回の実証事業参加者は健康に対してそれほど関心が高くない層が中心だったとし、「栄養バランスを考えた献立づくりの悩み解消や、健康への意識、行動変容を促すことができた」と評価。PHRが他産業と連携することで、「さらなる消費行動の拡大につながる可能性がある」と話した。

出典:医療介護CBニュース