閉じる

医療・介護ニュース

魚介類アレルギー患者、FPIESが相当数存在も-国立成育医療研究センター

2024年03月04日 17:35

印刷

 魚介類アレルギーがある成人の中に、食物蛋白誘発性胃腸炎(FPIES)が潜在的に相当数存在する可能性があるとする調査結果を国立成育医療研究センターが発表した。【栗原浩太】

 FPIESは、強い腹痛や吐き気、嘔吐、下痢などの胃腸炎症状を引き起こす。ただ、一般の食物アレルギーと異なり皮膚や喉、呼吸の症状は起こさず、食後1時間以上経過してから胃腸炎症状が出るため、診断が難しいという。

 同センター・好酸球性消化管疾患研究室の野村伊知郎室長らの研究グループと草加市立病院(埼玉県)消化器内科の渡辺翔医長は、魚介類アレルギーがあると申告した成人を対象に調査を実施。海外の研究報告を基にした成人FPIES診断基準を活用した調査では、117人のうちの「22名(18.8%)がFPIESであると考えられた」とした。

 また、原因魚介類の最多は牡蠣などの貝類(45.4%)で、加熱・加工しても症状が出た。 成人FPIESは小児FPIESと比べて反復嘔吐が少なく、腹部の張り(81.8%)や強い腹痛(63.6%)をはじめとした、重篤な腹部症状を引き起こすことも判明した。なお、原因魚介類は一部だけであり、他の多くの魚介類は摂取可能だった。

 同センターは、調査結果が今後の診断ガイドラインや救急医療における診断アルゴリズム策定に生かされることを期待している。

 この調査結果は、国際的な学術誌「Allergology International」に掲載された。

出典:医療介護CBニュース