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医療・介護ニュース

外国人材新制度のたたき台に日弁連会長が声明-日本語試験条件など「付すべきではない」 妨害企業も

2023年10月30日 17:25

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 現行の技能実習制度を廃止し、日本語能力試験の一定相当のレベルや技能検定基礎級合格といった要件を満たせば本人の意向による転籍を認めることなどを盛り込んだ最終報告書のたたき台を政府の有識者会議がまとめたことについて、日本弁護士連合会(日弁連)の小林元治会長は、受け入れ企業が受験を妨害したり、日本語の習得に力を入れない問題のある企業で就業する労働者ほど転籍が難しくなったりする可能性があるとして、こうした条件を付けるべきではないとの声明を出した。【大月えり奈】

 技能実習制度については、人材育成を通じた国際貢献を目的としながらも、深刻な人手不足を背景に技能実習生が労働力として貢献している実態があることから、「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」で、現行の制度を廃止し実態に即した制度に見直す議論が行われている。 18日に示された最終報告書のたたき台では、これまで原則できなかった本人意向による「転籍」について、同じ企業での就労が1年以上、技能検定基礎級合格、日本語能力A1相当以上レベルなどの一定の要件を満たせば、同一分野に限って認めるとしている。 これについて日弁連の小林会長は26日付で、懸念点などを盛り込んだ声明を出した。小林氏は、技能実習制度が国内の人材確保のために利用されている実態を直視して、技能実習制度を終了させて人材確保の目的を含む新たな制度を創設するとした点を評価。その上で、転籍に当たり技能検定試験などの条件を付けたことに対し、受験自体が転籍の意向を推測させるものとなれば、受け入れ企業などが受験を妨害したり、技能検定基礎級実施団体が合格水準を引き上げたりすることがあり得るとし、条件にすべきではないと指摘した。 また、転籍前の受け入れ企業が負担した初期費用の一部を転籍後の受け入れ企業などにも負担させるとしているが、基準を設けたとしても両者が円満かつ迅速に費用負担の合意ができるとは考えられず、手続き上の困難により受け入れ側がちゅうちょし、転籍先を見つけることが難しくなることが懸念されるとしている。こうしたことを踏まえ、「転籍は労働者に認められた当然の権利であることを前提に具体的な仕組みが構想されるべき」との見解を示した。 また、たたき台では新たな制度と特定技能1号で家族帯同を認めないこととしているが、こうした家族の分離を長期間強いる制度設計は人権擁護の観点から容認できないとして、より早期に家族帯同が実現されるべきだと主張した。

出典:医療介護CBニュース