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医療・介護ニュース

介護職員の7割超「働く上で不安」-日本介護クラフトユニオンの調査

2014年10月17日 14:42

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 月給制で働く介護従事者の7割超は、勤務上で不安を抱いていることが、UAゼンセン日本介護クラフトユニオン(NCCU)の調査で分かった。NCCUは、「賃金が低く抑えられ、将来設計が描けないことが不安の背景にあるのではないか」と分析している。【松村秀士】

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 NCCUは今年3月、訪問介護事業所や通所介護事業所、グループホーム、有料老人ホームなどで働くNCCUの組合員に対して就業意識実態調査を実施。月給制で働く2793人、時給制の1796人の計4589人から回答を得た。

 それによると、月給制従事者の73.8%が「働く上で不安がある」と答えた。不安の理由を複数回答で聞いたところ、51.3%が「自分の将来が不安」と回答。次に多かったのは、「利用者に適切なサービスができているかどうか」(37.8%)で、「仕事中の介護事故が怖い」(15.8%)、「サービスの方法について意見交換が不十分」(15.0%)なども多かった。時給制従事者も、40.2%が不安の理由に将来の姿を挙げた。

 働く上での不満については、月給制従事者の80.6%が「ある」と答え、その理由を3つまで選んでもらったところ、最も多かったのは「賃金が安い」(54.1%)だった。「仕事量が多い」(36.2%)、「何年経っても賃金が上がらない」(27.4%)、「連休が取りにくい」(20.9%)といった意見も寄せられた。

 現在の賃金に対して不満を感じている月給制従事者の割合は73.1%。施設・職種別では、入所型の施設系管理者(85.5%)が最も不満を示していることが分かった。事務職員(80.6%)、福祉用具専門相談員(79.2%)、入浴オペレーター(78.5%)、生活相談員(73.1%)なども多かった。准看護師は63.0%、ケアマネジャーは63.1%、看護師は64.8%だった。

 処遇(賃金)改善に向けて必要な取り組みを2つ以内で挙げたもらったところ、「介護報酬の引き上げ」という回答が41.6%を占め、最も多かった。「事業者の経営努力」(39.2%)、「労働組合の交渉力の強化」(31.4%)、「介護従事者の働き方の工夫」(23.8%)といった意見もあった。

■全産業平均賃金との差を埋めるのが急務

 16日に開かれた介護職員の現状や課題について考えるシンポジウムで、調査結果を説明したNCCUの染川朗事務局長は、「介護業界の問題を解決する糸口は賃金の上昇」と強調。その上で、介護業界を維持していくためには、全産業の平均賃金との差を埋めるのが喫緊の課題と指摘した。さらに、職種などで一律に賃金が決定されるのではなく、介護従事者の成長を評価するような仕組みも重要との考えも示した。

出典:医療介護CBニュース