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医療・介護ニュース

看護師学校養成所指定規則の教育内容の枠組み維持-厚生労働省が検討会報告書を公表

2019年10月17日 14:15

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 厚生労働省は15日、看護基礎教育検討会(座長=遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)の報告書を公表した。看護師、保健師、助産師に関しては「基本的に保健師助産師看護師学校養成所指定規則における教育内容の枠組みを維持する」と明記。臨地実習の1単位当たりの時間数設定については、指定規則にのっとり、弾力的に運用できるよう見直す方向性を示している。【新井哉】

 報告書では、近年の人口構造の変化により、通院や入院している看護対象の高齢化が進み、1人が複数の疾患を抱える時代になったことを取り上げ、「対応する対象の多様性や複雑性が増しており、看護職員にはこれまで以上に高い能力が求められている」と説明している。

 看護基礎教育を巡る現状と課題にも言及。少子化で一般病院の産婦人科や小児科が減少しているため、特に母性看護学や小児看護学において実習施設の確保が困難で、学生が実習で経験できる内容にばらつきが生じていると記載している。

 また、看護師等養成所で教員を募集しても「なかなか応募者が集まらない」と指摘。カリキュラム外の補講や演習などの時間外業務も多く、教員の負担が増大し、さらに教員の確保が困難になるといった悪循環に陥っていると説明。こうした状況などを踏まえ、看護基礎教育の見直しの方向性を示している。

 具体的には、看護師に求められる実践能力と卒業時の到達目標について、地域包括ケアシステムにおける看護師の役割が増しているため、地域包括ケアシステムについての学習が充実するよう、構成要素と卒業時の到達目標に追記。看護師教育の技術項目・達成度に関しても、看護師基礎教育の達成度を示す「技術」はテクニカル・スキル(手技)であると整理した上で、「技術提供の前に行う対象の観察やアセスメント等を含まない簡潔明瞭な表現とした」としている。

 准看護師教育に関する項目では、看護師等養成所の運営に関する指導ガイドラインの改正案も示している。周産期のメンタルヘルスに対する心理面での支援や、ハイリスク妊産婦や緊急時に対応できる実践能力を強化する必要があるため、「正常な妊娠経過を診断する能力に加え、正常からの逸脱の判断や異常を予測する臨床判断能力を養うことを追記した」としている。

出典:医療介護CBニュース