2023年08月07日 18:00
特別養護老人ホームの経営者らで構成される「全国老人福祉施設協議会(全国老施協)は7日、2024年度介護報酬改定に向けた要望を、厚生労働省老健局長と社会保障審議会介護給付費分科会会長宛てに、それぞれ提出した。新型コロナウイルスや物価高騰の影響で介護事業の経営がいっそう厳しさを増す中、他業種と同水準の賃金引き上げができず人材流出に拍車が掛かっているとして、介護従事者の処遇改善などを実現するために報酬の大幅な増額を求めた。【大月えり奈】
岸田政権が掲げる「インフレ率を超える賃上げ」を受け、一般企業では正規職員・非正規職員共に30年ぶりの高水準の賃上げとなり、最低賃金も過去最大の上げ幅が決定したが、要望書では、介護分野は公定価格の介護報酬が収益の柱なため、対応できる余力がないと訴えた。その上で「既に異業種への人材流出が見られるなど、介護人材の確保は困難を極めつつある」とし、給与格差の是正のための原資確保を要望した。
また、介護報酬の在り方として、改定サイクルの中間年には賃金上昇率や物価上昇率の変動によって改定する賃金スライドと物価スライドの仕組みを導入するよう求めた。
他産業の高い賃金上昇率が持続すれば、介護分野は、賃金の水準がただでさえ低い中、3年に1度の介護報酬改定だけではその間にいっそう広がりかねないため。
要望書ではこのほか、▽食費・居住費に関する基準費用額の見直し▽複雑化した介護サービス体系の簡素化▽特別養護老人ホームにおける医療アクセスの向上▽小規模特別養護老人ホーム(定員30人)の存続-について改善を求めた。
全国老施協の大山知子会長は「新型コロナウイルスや物価高の影響で経営は厳しさを増しており、現状で特別養護老人ホームの4割以上が赤字だ。自助努力だけでは成り立たたず、社会状況を踏まえて、介護崩壊を招かないよう対応を求めたい」と話している。
岸田政権が掲げる「インフレ率を超える賃上げ」を受け、一般企業では正規職員・非正規職員共に30年ぶりの高水準の賃上げとなり、最低賃金も過去最大の上げ幅が決定したが、要望書では、介護分野は公定価格の介護報酬が収益の柱なため、対応できる余力がないと訴えた。その上で「既に異業種への人材流出が見られるなど、介護人材の確保は困難を極めつつある」とし、給与格差の是正のための原資確保を要望した。
また、介護報酬の在り方として、改定サイクルの中間年には賃金上昇率や物価上昇率の変動によって改定する賃金スライドと物価スライドの仕組みを導入するよう求めた。
他産業の高い賃金上昇率が持続すれば、介護分野は、賃金の水準がただでさえ低い中、3年に1度の介護報酬改定だけではその間にいっそう広がりかねないため。
要望書ではこのほか、▽食費・居住費に関する基準費用額の見直し▽複雑化した介護サービス体系の簡素化▽特別養護老人ホームにおける医療アクセスの向上▽小規模特別養護老人ホーム(定員30人)の存続-について改善を求めた。
全国老施協の大山知子会長は「新型コロナウイルスや物価高の影響で経営は厳しさを増しており、現状で特別養護老人ホームの4割以上が赤字だ。自助努力だけでは成り立たたず、社会状況を踏まえて、介護崩壊を招かないよう対応を求めたい」と話している。