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医療・介護ニュース

抗菌薬の適正使用、診療報酬で後押しへ-病院と診療所の使用に格差

2023年07月27日 20:11

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 厚生労働省は26日、病院と診療所の抗菌薬の使用量に格差があるとするデータを中央社会保険医療協議会に示した。国の薬剤耐性(AMR)対策の「アクションプラン」では、抗菌薬の適正な使用を促して微生物の薬剤耐性率を引き下げる目標を掲げていて、中医協では診療報酬による一層の推進策を議論する。【兼松昭夫】

 厚労省によると、抗菌薬の人口・1日当たり使用量は2013年以降、病院よりも診療所で多い状況が続いている。 また、抗菌薬(内服薬)の使用量の推移を年齢階級別に見ると、13年から20年にかけて「15歳未満」や「65歳以上」で減少傾向にあるものの、「15-64歳」では減少傾向が認められなかった。 医療現場のAMR対策を促すため、国は22年度に新設した感染対策向上加算1や加算2の施設基準に、抗菌薬の適正使用を監視する体制の整備を盛り込んだ。厚労省によると、全国の特定機能病院のほとんどが22年7月の時点で感染対策向上加算1を届け出ていたが、それらの病院で、カルバペネム系抗菌薬の使用にばらつきがあることも分かった。

 WHO(世界保健機関)が必須医薬品のリストを基にまとめた抗菌薬の「AWaRe分類」では、カルバペネム系の「イミペネム」や「メロペネム」を、耐性化が懸念されるため使用を制限する抗菌薬「Watch」としている。

 WHOでは、第一選択薬か第二選択薬にする抗菌薬「Access」の使用割合を60%以上にする目標を掲げているが、厚労省によると、日本ではそれらの使用割合が他国に比べて低い。

 医療現場のAMR対策を巡っては、全国の病院が抗菌薬の使用状況などを比較できる「感染対策連携共通プラットフォーム」(J-SIPHE)の運用が19年に始まり、23年6月現在、約2,300病院が参加しているという。22年10月には「診療所版J-SIPHE」の運用も始まった。

 また、感染対策向上加算のほかに22年度の診療報酬改定では、小児の耳鼻咽喉科の領域でAMR対策を推進するため、「耳鼻咽喉科小児抗菌薬適正使用支援加算」が新設された。

 この加算を算定するには、薬剤耐性AMR対策のアクションプランに盛り込まれた「地域感染症対策ネットワーク」の活動に参加するなどの基準をクリアする必要がある。

 病院や診療所の「かかりつけ医機能」を評価する「地域包括診療料」などでは、国の手引きを参考に、適正使用の普及啓発に取り組むことが算定要件になっていて、中医協では、24年度に向けて一層の推進策を議論する。

 中医協が26日に開いた総会で、診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、J-SIPHEなどのプラットフォームに医療機関が参加しやすくすることで適正使用を見込めるという認識を示した。

 支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、どのような時に抗菌薬が処方されるのか、詳しい分析を求めた。

出典:医療介護CBニュース