2023年05月23日 17:40
認知症の入所者にも新型コロナウイルスなどの感染防止対策がスムーズにできるよう、介護施設ではさまざまな工夫が行われている。換気の際に入所者が窓を閉めてしまう場合は鍵を紙コップで隠したり、食事中に大声で話してしまう時はBGMの音量を下げたりするなど、現場で取り組んだ工夫集がまとめられた。【大月えり奈】
認知症の人の場合、“清潔”という概念や感染対策の意義などを理解するのが難しい場合があり、スムーズな対策ができないことも多い。 厚生労働省の補助金を受けた民間のシンクタンクは介護施設などにヒアリング調査を行い、直面したさまざまな事例と、その際どういった試みを行ったかについて報告書にまとめた。
「施設内の換気」では、入所者が目的を理解できずに窓を閉めてしまったり、外に出てしまったりすることがあったという。そのため、ある施設では、▽入所者が窓の鍵を触らないよう紙コップをかぶせて見えないようにする▽ストッパーやロックで、人が通れない5センチから20センチしか開かないようにする-などの工夫をした。
「食事中の感染対策」では、入所者同士が大声で会話をしてしまうことがあったことから、BGMの音量を下げることで大きな声を出さなくても話が聞こえるようにした。
このほか、▽マスクで職員の区別がつかず入所者が混乱するのを避けるため、ベッドサイドなど見えやすい所に担当者の顔写真を掲示する▽手袋をはめて入所者の口に薬を入れると違和感でかまれてしまう場合はスプーンを使用する▽家族とのオンライン面会では状況を理解しやすいよう大きなディスプレーを使う-などのアイデアが紹介されている。
調査を行った日本総合研究所では、介護現場で働く人たち向けの教材として活用するよう促している。