2023年05月19日 16:50
自宅や高齢者施設等で緩和ケアが行われる際に薬局が麻薬調剤に対応することが求められているが、18日に開かれた2024年度の診療報酬・介護報酬の同時改定に向けた意見交換会では委員から、法令上の規制を遵守し夜間や休日対応を行うにあたってかなりの負担が発生しているとして配慮を求める声が上がった。【大月えり奈】
中央社会保険医療協議会と社会保障審議会・介護給付費分科会による意見交換会では、人生の最終段階における意思決定支援をテーマに話し合われた。患者の希望する緩和ケアに必要な薬剤について、質の確保や安全性、また円滑な供給に向けて医療機関や介護施設、薬局間の連携について議論された。
厚労省の調査(速報値)によると、“病気で治る見込みがなく1年以内に死に至ると考えた時に最期を迎えたい場所”について、自宅としている人の割合は43.8%と最も高かった。その一方で、“それまでの医療・ケアを受けたい場所“では医療機関が54.8%と最も高く、これらのニーズを満たすため、医療機関から在宅へのスムーズな移行が求められている。
こうしたことから、厚労省は、本人の意思決定に基づいた医療・介護を提供するために関係者間で更に連携し、どのような場所でも充実した緩和ケアを提供できるよう議論を促した。
疼痛を緩和するために医療用麻薬が使われているが、日本薬剤師会の森昌平副会長は「(用法容量の)注射薬が急に必要となったとしても必ずしもその時々に薬局に備蓄されているわけではなく、取り寄せるにも時間がかかる」として、円滑な連携に向けて医療機関などから患者の状態の変化について治療計画が共有される必要性を述べた。
そのうえで森副会長は「終末期には患者の状況も刻々と変化し頻回な訪問が必要な場合もある。特に夜間・休日の緊急時に対応するためには時間外対応も重要。医療用麻薬の管理や調剤は法令上の規制を順守する必要もあり、かなりの負担が発生している」として、診療報酬改定に向けた議論での検討を要望した。