2023年05月08日 20:05
災害時における被災想定区域や避難場所などを表示する「ハザードマップ」について、視覚障害者には地図情報だけでは伝わりにくい課題があることを受け、国土交通省はウェブサイト「重ねるハザードマップ」を梅雨など川が増水しやすい出水期までに改良し、災害の危険性や取るべき避難行動などを簡単な文章で表示する機能を追加すると発表した。これにより国交省は、“目の不自由な人でも音声読み上げソフトを利用することで自宅等の災害リスクを知ることができる”としている。【大月えり奈】
ハザードマップとは、自然災害による被害の軽減や防災対策に使用する目的として、浸水想定区域や避難場所・避難経路の位置などを示した地図のことで、命を守るための早めの避難行動を取れるよう活用されることが期待されている。
その一方で、ハザードマップの存在は知っていても掲載されている情報の内容が専門的であることなど一定のハードルがあり、十分な活用に結び付けられていない点が指摘されている。
また現在のハザードマップは視覚障害者には対応されておらず、情報へのアクセス自体が難しいケースもある。
そのため国交省は、あらゆる人にとってより分かりやすいハザードマップを検討するため、有識者や視覚障害者で構成する「ハザードマップのユニバーサルデザインに関する検討会」を2021年に設置し、これまでに5回にわたり議論を重ねてきた。
こうした検討結果を踏まえてこのほど国交省は、取り組みの一つとして、ウェブサイト上に公開している「重ねるハザードマップ」を改良することを発表した。
具体的には、トップページを音声読み上げソフトへの対応を意識したシンプルな構造に変更し、外国人技能実習生や障害者を含む多くの人に伝わりやすいよう簡単な日本語を使用すること、立ち退き避難や屋内安全確保など取るべき行動がすぐに分かるよう背景を色分けして表示すること、画像ファイルには代替テキストを表示することなどが盛り込まれている。
また、アイコンや地図をクリックしなくても、住所を入力したり現在地を検索したりするだけでその地点の自然災害の危険性が自動的に文章で表示される機能も追加する。
国交省はこうした改良について、梅雨の集中豪雨や台風などで川が増水しやすい出水期までに「重ねるハザードマップ」に反映させることを目指している。