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医療・介護ニュース

糖尿病性認知症に特徴的な血中タンパク質糖鎖発見-東京都健康長寿医療センター研究所が発表

2023年02月24日 12:55

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 東京都健康長寿医療センター研究所はこのほど、同センター研究所と大阪大、慶応大の共同研究チームが、糖尿病性認知症に特徴的な血中タンパク質糖鎖を発見したと発表した。糖尿病合併症としての認知症は、患者とその家族の生活の質(QOL)をさらに低下させるため、早期に発見することが求められている。今回の研究成果を基に糖尿病性認知機能低下のバイオマーカー(指標)が策定できれば、「糖尿病患者とその家族に光明をもたらすものと期待される」としている。【新井哉】

 タンパク質の翻訳後修飾(タンパク質生合成後に付加される修飾)の糖鎖修飾は、老化や病気など健康状態の変化を反映して構造が変わり、がんなどさまざまな疾患のバイオマーカーとなることが知られている。また、血中タンパク質のほとんどが糖鎖修飾を持っているため、血液を用いて糖尿病性認知症のバイオマーカー候補となる糖鎖修飾を探索することは有用であると考えられている。

 今回の研究では、血中タンパク質を消化酵素(タンパク質分解酵素)により、ペプチドにした検体について、液体クロマトグラフィー質量分析装置(LC-MS)と多変量解析(OPLS)を用いて分析。認知機能の低下によって変化する血中タンパク質由来の糖ペプチド(糖鎖修飾を持つペプチド)を探索した。

 縦断調査(同じ人に対する数年ごとの追跡調査)に参加した人で、糖尿病に罹患していて認知機能が低下した人の認知機能低下前と低下後の血液を比較したところ、認知機能低下により、クラスタリン、α2マクログロブリン、ハプトグロビン由来糖ペプチドの高分岐(3から4分岐)でシアル酸を含む糖鎖が減少した。逆にトランスフェリン由来糖ペプチドの3分岐で3シアル酸を含む糖鎖が増加することが明らかになった。

 これらの特徴的な糖ペプチドについては、「糖尿病性認知症のバイオマーカー候補となる可能性があると考えられ、今後、多検体で検証していく」としている。

出典:医療介護CBニュース