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医療・介護ニュース

自殺者の眼房水中リチウム濃度は非自殺者より低い-東京都が研究の成果を発表

2022年11月11日 18:20

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 東京都は11日、都医学総合研究所社会健康医学研究センターの西田淳志センター長や東京大大学院医学研究科の安藤俊太郎准教授(臨床神経精神医学講座)らの研究グループが、自殺者の方が非自殺死亡者よりも眼房水中リチウム濃度が低いことを示したと発表した。今後は自殺者で体内リチウム濃度が低いメカニズムの解明が求められるという。【新井哉】

 地域の水道水中のリチウム濃度が自殺率と逆相関することは、さまざまな地域で報告されてきたが、複数の自殺症例を用いて自殺者と非自殺死亡者の体内リチウム濃度を調べた研究はなく、体内の微量リチウム濃度が自殺死と関連するかは不明だった。

 今回の研究では、12人の自殺者と16人の非自殺死亡者の眼房水中リチウム濃度を比較。自殺者の方が非自殺死亡者よりも眼房水中リチウム濃度が有意に低いことなどが示された。

 自殺予防効果が実証されている薬は少なく、効果が示されている炭酸リチウムも、副作用などのため過小利用が指摘される状況となっていることから、「今回、世界で初めて体内の微量なリチウムが自殺と関連することが示されたことは、リチウムの活用に大きな展開をもたらすもの」などと説明。今後は、微量リチウムの自殺予防効果の検証が進むことが期待されるという。今回の研究の成果は、学術誌「Translational Psychiatry」のオンライン版に掲載された。

出典:医療介護CBニュース