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医療・介護ニュース

内部留保への課税や保険料率見直しで医療財源確保を-全世代型社会保障改革へ日医が意見表明

2019年09月19日 20:45

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 日本医師会(日医)の横倉義武会長は、政府が掲げる「全世代型社会保障改革」について18日の定例記者会見で見解を表明した。財源を消費税に限らず、企業の内部留保への課税などに広げるほか、大企業の会社員や公務員が加入する健康保険の料率を見直し、協会けんぽの水準まで引き上げることを主張。20日に初会合が開かれる予定の政府の検討会議での議論を前に、けん制した。【吉木ちひろ】

 横倉会長は会見で、後期高齢者の自己負担の引き上げや市販品類似薬の保険除外・償還率の見直しについて、受診抑制による病気の重症化に対する危惧などを理由に、反対する立場を改めて示した。政府の検討会議で、医療費抑制策については、9日に健康保険組合連合会が提言した内容が論点の中心になるとした。

 その上で、負担の在り方として、保険料率の引き上げを主張。健保組合や公務員などが加入する共済組合の保険料率を、協会けんぽの健康保険料率の10.0%にそろえることで、約1兆円の税収効果が見込めるとした。また、「死亡した場合の税」や、企業による賃上げ、設備投資が行われない場合の「内部留保への課税」を例示し、消費税に限定しない税負担の在り方を議論することが重要との見解を示した。

 政府が設置する全世代型社会保障検討会議は、安倍晋三首相を議長として関係閣僚が参加するほか、国立社会保障・人口問題研究所の遠藤久夫所長や経団連の中西宏明会長らの有識者で構成されるが、日医の代表者は含まれない。

 横倉会長は、検討会議の結果などを踏まえて政府方針が取りまとめられ、2021年の通常国会に関係法案が提出されることから、今後20年までが「非常に重要な時期になる」との認識を示した。

出典:医療介護CBニュース