2022年06月09日 12:05
日本医療研究開発機構は6日、山梨大医学部統合生理学教室と東京大医学部附属病院精神神経科などの研究グループが、同じ間隔で鳴っていた音が、予測外に鳴らなかったとき、脳の前頭極(前頭葉の最前部にある脳領域)-側頭葉ネットワークが活動することを明らかにしたと発表した。統合失調症などの精神神経疾患の病態に脳内予測メカニズムの障害が関連する可能性を示唆しており、今後の診断や治療法の開発・研究への応用が期待されるという。【新井哉】
精神神経疾患では、予測が外れて音が鳴らなかった時や、予測と異なる音が鳴った時に、脳波で生じるミスマッチ陰性電位が減弱することが知られていたが、そのメカニズムは不明だった。研究グループは、ヒトと同じ霊長類のニホンザル(マカク属)の大脳皮質表面に多数の電極を留置し、網羅的に神経活動を計測する皮質脳波計測法で、聴覚に関連する側頭葉と高度な予測形成に関わると考えられる前頭葉から神経活動を調べた。
予測や予測誤差に関わる神経活動を取り出すため、同じ間隔で鳴る音を10%の確率で欠落させ、その時の神経活動を解析する方法を用いた。この手法で、音が欠落した時の神経活動が、音そのものではなく、予測や予測誤差に関わることを保証した。
その結果、音が欠落した時、前頭極と側頭葉前部の脳波信号の位相(周期のどの位置に信号があるのか)が、β帯域(12-30Hz:1秒間に12-30回振動すること)で同期することが判明。音が鳴るのではないかという予測や、音が鳴らなかったという予測誤差に関わる信号が、前頭極と側頭葉前部間で伝達されていることを示しているという。
今回の結果により、ミスマッチ陰性電位の発生に関連することが知られていた予測や予測誤差に関わる信号が前頭極と側頭葉前部間で伝達されているという新たな神経ネットワークを初めて見いだしたという。研究の成果は、科学誌「Frontiers in Psychiatry」に掲載された。
精神神経疾患では、予測が外れて音が鳴らなかった時や、予測と異なる音が鳴った時に、脳波で生じるミスマッチ陰性電位が減弱することが知られていたが、そのメカニズムは不明だった。研究グループは、ヒトと同じ霊長類のニホンザル(マカク属)の大脳皮質表面に多数の電極を留置し、網羅的に神経活動を計測する皮質脳波計測法で、聴覚に関連する側頭葉と高度な予測形成に関わると考えられる前頭葉から神経活動を調べた。
予測や予測誤差に関わる神経活動を取り出すため、同じ間隔で鳴る音を10%の確率で欠落させ、その時の神経活動を解析する方法を用いた。この手法で、音が欠落した時の神経活動が、音そのものではなく、予測や予測誤差に関わることを保証した。
その結果、音が欠落した時、前頭極と側頭葉前部の脳波信号の位相(周期のどの位置に信号があるのか)が、β帯域(12-30Hz:1秒間に12-30回振動すること)で同期することが判明。音が鳴るのではないかという予測や、音が鳴らなかったという予測誤差に関わる信号が、前頭極と側頭葉前部間で伝達されていることを示しているという。
今回の結果により、ミスマッチ陰性電位の発生に関連することが知られていた予測や予測誤差に関わる信号が前頭極と側頭葉前部間で伝達されているという新たな神経ネットワークを初めて見いだしたという。研究の成果は、科学誌「Frontiers in Psychiatry」に掲載された。