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医療・介護ニュース

医療・介護保険への自動調整機能の導入など提言-骨太方針2022に向け、経済同友会

2022年04月25日 20:00

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 経済同友会は、出来高払いの医療・介護保険にも公的年金制度と同様に「自動調整機能」を導入することなどを盛り込んだ意見を公表した。企業や働く個人の保険料負担が一定の水準を上回る場合、医療・介護給付の伸びが経済成長率を上回らないよう制御するため、関連法令の改正への議論を開始すべきだと主張している。【松村秀士】

 意見は、政府が6月ごろにまとめる骨太方針2022に反映させるべき重要課題に焦点を当てた内容。社会保障改革の関連では、▽医療・介護保険制度へのサーキットブレーカーの導入▽医療・介護提供体制の効率化▽受診時定額負担の導入▽後期高齢者の医療費自己負担2割の対象範囲の拡大-など6項目を提言している。

 このうち、医療・介護提供体制の効率化について、患者の早期の社会復帰を実現して1人ひとりのQOL(生活の質)を向上させる観点から、「病床数の適正化と医療従事者の適切な配置は急務」だと強調。また、地域医療構想の着実な推進や、地域医療連携推進法人を中心とした医療機関同士の機能分担・業務連携は新型コロナウイルスの「第七波」への対応でも重要だとし、必要な人材の確保などを行って対応を急ぐよう求めている。

 OECDのデータでは、日本は諸外国に比べて人口1,000人当たりのベッド数が多い一方、病床当たりの医療従事者が少ないことが明らかになっている。

 そのため、経済同友会は、国内では密度の低い医療を提供しており、その結果、入院日数の長期化と医療給付費の増大につながっていると説明。また、患者のニーズに応じた在宅医療・介護の提供体制が整備されていないとも指摘している。

 75歳以上の医療費自己負担に関しては、「2021年6月に関連法が成立したが、2割負担の対象範囲が半分に達していない」とし、少なくとも高齢者医療制度の「一般」の区分に当たる水準まで対象範囲を拡大すべきだと主張している。

 同制度での「一般」の区分は、住民税が課税されている世帯年収383万円未満の75歳以上が該当し、後期高齢者の半数超を占める。

出典:医療介護CBニュース