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医療・介護ニュース

社会保障費が初の30兆円超え、厚労省概算要求-自然増は5353億円

2019年08月27日 16:05

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 厚生労働省は30日、2020年度予算の概算要求をする見通しだ。一般会計の要求額は前年度よりも6593億円(2.1%)増え、総額32兆6234億円となる。このうち「年金・医療等に係る経費」(社会保障費)は30兆5269億円(1.8%増)で、要求時点で初めて30兆円を超える。高齢化に伴う社会保障費の自然増は5353億円。7月に閣議了解された20年度予算の概算要求基準では、社会保障費の自然増は最大で5300億円とされており、政府全体でこの範囲に収める。【松村秀士】

 厚労省は今回、▽健康寿命の延伸などに向けた保健・医療・介護の充実▽安全・安心な暮らしの確保▽多様な就労・社会参加の促進―などのための予算を重点的に要望する。

 医療などを充実させるため、地域医療構想や医師の偏在対策、医療従事者の働き方改革の推進に979億円を要求する。これにより、地域医療構想の実現を進めるほか、「医師少数区域」などでの医師の勤務環境改善や総合診療医の養成をサポート。ICT(情報通信技術)の活用やタスク・シフティングの実施などで勤務環境の改善や医療従事者の労働時間の短縮に取り組む医療機関も支援する。20年4月に控える診療報酬改定への対応については、予算編成の過程で検討する。

 また、医療・福祉サービス改革による生産性の向上などに向け、データヘルス改革やロボット・AI(人工知能)・ICTの実用化の推進に607億円を求める。これにより、医療保険オンライン資格確認を行ったり、医療機関によるシステム整備を支援したりするほか、特定健診などの保健医療情報を患者本人や医療機関が確認できる仕組みを構築する。さらに、レセプト情報や特定健診などの情報を蓄積したナショナルデータベースや介護保険総合データベースなどにある医療や介護の情報を連結して分析可能な環境も整備する。

 このほか、健康寿命の延伸に向けた予防・健康づくりに1025億円、がん対策の推進に80億円、6月にまとめられた「認知症施策推進大綱」に基づく取り組みの推進に135億円、介護の受け皿の整備や介護人材の確保に811億円を要望する。

出典:医療介護CBニュース