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医療・介護ニュース

賃上げ補助金、薬剤師らに充当できず-日病会長、自腹による経営影響に危機感

2022年01月11日 15:35

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 日本病院会の相澤孝夫会長は11日の記者会見で、看護職員の処遇を改善するための国からの補助金について薬剤師や一般的な事務職員の収入の引き上げには充当できないと、厚生労働省から説明を受けたことを明らかにした。その上で、補助金の配分対象外の職種には病院が自腹で賃上げをしなければならず、経営状況がさらに厳しくなると危機感を示した。【松村秀士】

 日病は7日に定例理事会を開催し、厚労省の担当者から看護職員の収入引き上げへの対応について説明を受けた。2-9月の賃上げに関しては、看護職員(常勤換算)の人数に一人当たり引き上げ分の月額4,000円を掛け合わせた補助金を各医療機関に支給するという内容。その補助金は、看護職員以外の職種に配分してもかまわないが、薬剤師や新型コロナウイルスの患者に対応する事務職員には配分できないとの見解を示した。

 相澤会長は会見で、介護職員の処遇改善に取り組む事業者に対して2009年10月から11年度末までの間、介護職員(常勤換算)1人につき月額平均1.5万円を交付した厚労省の事業に触れ、「介護職員だけ引き上げたら、他の職員の反発がすごく強かった。介護職員と似たような仕事をしている人の賃金も上げざるを得なかったというのが多くの介護施設の現状だ」と説明した。

 その上で、医療機関でも看護職員の収入を上げるのであれば他の職種も引き上げざるを得ないとし、「補助金の分配の対象とならない職種には病院が自腹で出さざるを得ないことになる」と訴え、経営に及ぼす影響に危機感をあらわにした。

 10月以降の収入増については、国は診療報酬への上乗せで対応する。ただ、理事会では、「改定によって削られてしまうこともあるので、診療報酬で人件費を手当てするのはおかしいのではないか」との意見も出たという。

■近く実施要綱を発出-厚労省

 厚労省の担当者はCBニュースの取材に対し、2-9月分の賃上げの補助金を理学療法士や作業療法士らの給与引き上げに充当することができるが、医師や歯科医師、薬剤師、一般的な事務職員には充当できないと説明。関連の実施要綱を近く示すことも明らかにした。

出典:医療介護CBニュース