閉じる

医療・介護ニュース

ワクチン接種は感染しない根拠として不十分、日医会長-接種の意義と限界性の周知徹底が必要

2021年09月15日 19:35

印刷

 日本医師会の中川俊男会長は15日の記者会見で、新型コロナウイルスワクチン接種は発症・重症化予防を期待するもので、一定の感染予防効果も確認されているが、ブレイクスルー感染した人は無症状で無自覚で人にうつす可能性があるとした。ワクチン接種証明は「感染しない、感染させないことを裏付ける根拠としては不十分だ」と強調し、接種の意義と限界性の周知徹底が必要だと訴えた。【齋藤栄子】

 中川会長は、新型コロナウイルスワクチンについて、14日時点で1回目の接種を終了した人が全人口の63.6%、2回目は51.5%となったことに触れた。世界の先行事例では接種率の上昇とともに感染者数が減少し、日常生活の行動制限緩和などを行う国もあるが、多くの国で接種率が7割手前で頭打ちになり、その間に感染が再拡大して制限を再び強化している国があることや、ワクチン接種率が8割を超えたシンガポールでも集団免疫を獲得できずに新規感染者数が増加しているとの報道を挙げて、危機感を持って注視しているとした。 また、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部会議が9日に、「ワクチン接種が進む中における日常生活回復に向けた考え方」と「新型コロナワクチン接種証明の利用に関する基本的考え方」を示したことについて、ワクチン接種がさらに進むことなどを前提に行動制限緩和の実現の可能性はあるとしつつも、感染再拡大の兆しをいち早く察知し、行動することが大事になると話した。 ワクチン接種証明は、接種歴およびPCR等の検査結果を基に、他者に二次感染させるリスクが低いことを示す仕組みであり、ワクチン接種後でも感染する場合があること、感染防止対策を講じなくてもいい許可証ではないことなどを、しっかり認識する必要があると強調した。

出典:医療介護CBニュース