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医療・介護ニュース

「コロナ禍における介護事業所の課題と対策」を公表-介護労働安定センター

2021年08月06日 19:00

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 介護労働安定センターはこのほど、2020年度介護労働実態調査(特別調査)の結果をまとめた「新型コロナウイルス感染症禍における介護事業所の実態調査」と、調査結果に対する解説コメントなどをまとめた「コロナ禍における介護事業所の課題と対策」を作成し、公表した。課題と対策では、利用者の心身機能を遠隔でも適切に観察して臨機応変な対応を取るために「ICT機器の活用は必須と言える」などと解説している。【齋藤栄子】

 調査は20年12月10日から21年1月6日まで、事業所と労働者を対象に実施し、回答はそれぞれ1,240事業所、2,951人。感染状況に応じて、感染多数地域(北海道、東京都、愛知県、大阪府、福岡県)と感染少数地域(岩手県、島根県)の7都道府県を対象に調査を行った。調査の集計結果については、2月に中間報告として公表済みで、「新型コロナウイルス感染症禍における介護事業所の実態調査」は確定版となる。 介護労働安定センターはこの調査結果に対し、東洋大の高野龍昭准教授による解説コメントや関連情報を加えた「コロナ禍における介護事業所の課題と対策」を作成。感染症拡大下での介護サービスの事業継続と、雇用安定のための具体的方策を示すことを意図したとしている。※「コロナ禍における介護事業所の課題と対策」より抜粋 課題と対策では、感染リスクを最小化するために、▽サービス内容を最小限にする▽時間数や回数を見直す▽新規利用者の受け入れを中止する-など、介護サービスの提供を縮小することを余儀なくされ、一部では行政から休業を要請されたケースもあったとし、利用者(高齢者)・その家族が感染リスクを懸念して、サービス利用を手控えたことなどが、実践現場の労働者(介護職員等)に業務の負担感や不安感を高めたなどと解説。未知のウイルスへの対応や利用者を感染から守るための新たな対応に大変な苦労があったことが今回の調査からうかがえるなどとしている。 また、事業収益については、日々多くの利用者が自宅から通う通所系サービスと、地域からの新規入居者や医療機関から退院後の入居者を引き受ける機会の多い施設・居住系サービスにおいて、悪影響が大きく表れていた。訪問系では通所などの代替サービスとしての期待に応えるため、人材確保も含めた対策が欠かせないなどとしている。

出典:医療介護CBニュース