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医療・介護ニュース

東京のコロナ患者入院調整「今後さらに難航」-都がモニタリング会議の専門家意見公表

2021年07月29日 17:50

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 東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議(第56回)が29日、都庁で開かれた。公表された「専門家によるモニタリングコメント・意見」では、保健所から都の入院調整本部への調整依頼件数について、新規陽性者数の急増に伴い「非常に高い水準」で推移していることを指摘。「特に連休中の入院調整が極めて厳しく、翌日以降の調整に繰り越し、自宅待機を余儀なくされる事例が多数生じた。この状況は連休後も継続しており、今後さらに難航することが予想される」としている。【新井哉】

 コメント・意見では、入院患者数について、前回(20日時点)の2388人から28日時点で2995人と増加したことを説明。6月下旬から約1カ月で倍増したことを取り上げ、「医療提供体制の逼迫が始まっている」と指摘。また、入院患者の年代別割合について、40歳代と50歳代の割合が合わせて約42%と高く、30歳代以下も全体の約36%を占めていることに触れ、「若年・中年層を中心とした入院患者が急増しており、遅れてこの年齢層の重症患者が増加することが予測される」としている。

 重症患者(人工呼吸器またはECMO使用)は、28日時点で前回よりも20人多い80人となっており、「大きく増加した」と指摘。20日から26日までの1週間に、新たに患者54人が人工呼吸器を装着した一方で、27人が人工呼吸器から離脱した。人工呼吸器使用中に死亡した患者が4人(前週は4人)いた。この期間に新たにECMO(体外式膜型人工肺)を導入した患者は6人、離脱した患者は4人いた。28日の時点で12人がECMOを使用している。

 重症患者の年代別の内訳については、50歳代が30人、40歳代が17人、60歳代が15人、70歳代が14人、30歳代が3人、20歳代が1人となっている。また、「今週は10歳未満及び30代でも新たな重症例が発生している」と指摘。「肥満、喫煙歴のある人は、若年であっても重症化リスクが高い」としている。

 新規陽性者数については、過去最多を超えたことなどに触れ、「これまで経験したことのない爆発的な感染拡大に向かっている」と説明。医療機関や通所を含む高齢者施設などでの感染者の発生が引き続き報告されていることも取り上げ、「都は、精神科病院及び療養病床を持つ病院、高齢者施設や障がい者施設の職員を対象に、定期的なスクリーニング検査を行っており、感染拡大を防止するため、より多くの施設が引き続き参加する必要がある」としている。

出典:医療介護CBニュース