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医療・介護ニュース

在宅酸素吸入の引火事故、10カ月間で死亡5件-厚生労働省が集計公表、重症も1件

2021年07月27日 13:20

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 厚生労働省は26日、在宅酸素療法に関する重篤な健康被害事例を公表した。在宅で主に肺の病気の治療に使う「酸素濃縮装置」などの使用中に引火したとみられる火災事故について取りまとめたもので、2020年7月から21年4月までの10カ月間で患者が死亡したケースが5件、重症(火傷)が1件あった。厚労省は、患者やその家族らに対し、たばこやストーブなど火気の取り扱いに気を付けるよう呼び掛けている。【新井哉】

 厚労省が公表したのは、日本産業・医療ガス協会の集計で、被害状況や原因などが記載されている。それによると、重症を含めた6件の原因(推定を含む)に関しては、「不明」が3件、「こたつから引火」「喫煙」「電気ストーブから引火」がそれぞれ1件だった。

 酸素濃縮装置は、室内の空気を取り込んで圧縮し、酸素を管で患者に送る仕組み。慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺結核の後遺症など、呼吸が困難になる疾患の患者が在宅で生活するために使われている。

 厚労省は、高濃度の酸素を吸入中に、たばこなどの火気を近づけるとチューブや衣服などに引火し、重度の火傷や住宅の火災の原因となると指摘。患者らに対し、▽使用中は装置の周囲2メートル以内に火気を置かない▽酸素を吸入中はたばこを吸わない▽医師の指示通りに酸素を吸入する-といった注意事項を挙げている。

出典:医療介護CBニュース