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医療・介護ニュース

介護施設内の転倒でステートメントを発表-日本老年医学会・全国老人保健施設協会

2021年06月15日 18:00

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 日本老年医学会と全国老人保健施設協会は11日、「介護施設内での転倒に関するステートメント」を合同で発表した。介護施設で転倒が起こると事故として扱われることが多いが、高齢者の転倒は老年症候群の代表的な症候で、転倒の全てが過失による事故ではないなど、その要因や対策などについて科学的エビデンスに基づいて検討し、結果を報告書にまとめた。【齋藤栄子】

 老年症候群は、高齢期に多く認められる転倒、尿失禁、褥瘡など多彩な症候の総称。日本老年医学会の「老年症候群の観点から見た転倒予防とその限界に関する検討ワーキンググループ」での検討を踏まえて、転倒やそれに伴う傷害に関して、防止しようとする施設の姿勢や取り組みと、発生した事故を状況に応じて受容する入所者の心象などを、合同で検討した。 ステートメント(声明)は、▽転倒すべてが過失による事故ではない▽ケアやリハビリテーションは原則として継続する▽転倒についてあらかじめ入所者・家族の理解を得る▽転倒予防策と発生時対策を講じ、その定期的な見直しを図る-の4つ。 転倒リスクが高い入所者は、転倒予防策を実施していても一定の確率で転倒が発生するため、転倒の結果として骨折や外傷が生じたとしても、必ずしも医療・介護現場の過失による事故と位置付けられない。また、ケアやリハビリテーションは活動性により転倒リスクを高める可能性もあるが、多くの場合は生活機能維持・向上が期待されるため原則として継続し、施設は、転倒予防策に加えて転倒発生時の適切な対応手順を整備し職員に周知するなどとしている。 報告書は、介護施設の医療介護従事者・管理者と関係する行政を主な対象としているが、広く国民にも理解を求める目的で「介護施設内での転倒を知っていただくために-国民の皆様へのメッセージ」も別途作成した。

出典:医療介護CBニュース