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医療・介護ニュース

看護補助者見直し、「基準介護」の創設を-看護師の専門性向上と介護職の役割明確化へ日慢協

2019年08月09日 18:25

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 患者の退院後の生活を見据えて看護補助者の定義を見直し、病院に介護職員の配置を求める「基準介護」を定めてはどうか―。日本慢性期医療協会(日慢協)の武久洋三会長が8日の定例記者会見で、このように提案した。入院患者の高齢化を踏まえ、看護師を医療的な知識や技術が必要な業務に集中させることで医療の高度化を図りながら、看護師の指導下で介護職員が生活上のケアを行うよう役割を明確化する構想だ。【吉木ちひろ】

 武久会長は、一般病床(7対1)の入院患者に占める65歳以上の高齢患者の割合が年々増加していることに伴い、「看護ケア以外に介護ケアのウエートが大きくなっている。高等教育を受けた看護師が排泄介助、食事の世話などの介護業務に追われているのが現状」と問題提起した。会見で示されたデータ(厚生労働省の「診療報酬改定結果検証に係る調査」「入院医療等の調査」)によると、一般病床(7対1)の入院患者に占める65歳以上の高齢患者の割合は2009年度に57.5%だったのが、12年度は70.5%、16年度は72.2%と上昇を続けている。

 日慢協は高齢化する患者に対して看護補助者の配置が不十分なことが、看護師が病棟で「介護業務に追われている」要因としている。今回提案した「基準介護」は、入院基本料の施設基準に介護職員の配置を求めるイメージだ。厚労省が18年度に実施した調査でも、看護補助者について「必要数を満たすだけ配置できていない」と回答した病院は37.3%あり、そのうち91.5%が理由について「募集しても集まらない」と回答していた。

 人材の確保は介護現場でも喫緊の課題だが、武久会長は川上にある急性期病院が十分な介護ケアやリハビリテーションを実施することで、要介護者の総数の減少や要介護度の悪化抑制につながると主張している。

出典:医療介護CBニュース