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医療・介護ニュース

専門医教育に進む前段階で総合診療深く学ぶ機会を-日本慢性期医療協会が提言

2021年04月08日 19:15

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 入院患者に占める高齢者の多さを踏まえ、適切な全身管理ができる総合診療医を早急に増やす必要がある-。日本慢性期医療協会の武久洋三会長はこうした観点から、医師の卒後研修制度の抜本的な見直しを8日の定例記者会見で提言した。具体的には、医師教育の過程における初期研修と、後期研修の初めのうち2年を合わせた4年間を、総合診療機能を学ぶための研修期間とすることを求めている。【吉木ちひろ】

 同協会はこれまでも、慢性期医療や高齢者医療を担う立場から、急性期病院で専門分化された治療が、高齢患者の栄養状態やADLなどに及ぼす悪影響について発信を続けてきた。8日の会見では、十分な全身管理が行われていない実態を表すデータの1つとして、会員病院における通常時の入院患者の状態と急性期病棟などから受け入れたポストコロナの患者のADLの違いに関するアンケート結果を示した。急性期病院から受け入れたポストコロナ患者は、同じ時点で入院治療を受けていた患者と比べて「自立」状態の患者の割合が減り、「全介助」や「一部介助」の割合が増えている=表=



 この日、武久会長は、日慢協が掲げる総合診療医像を、「専門分野にとらわれない幅広い知識と、リハ・看護・介護・栄養など職種横断的な知識を持ち、多職種からなるチーム医療を実践するリーダー的役割」と定義して示した。また、こうした能力を発揮できる医師を増やし、高齢患者の複合的なニーズに応じるためには、総合診療の分野を全ての医師が学ぶ基礎的な学問として位置付け直すべきだと訴えた。

出典:医療介護CBニュース