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医療・介護ニュース

宣言の先行解除に慎重姿勢、日医・中川会長-「誤ったメッセージ発信」を懸念

2021年02月25日 17:05

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 日本医師会(日医)の中川俊男会長は25日の定例記者会見で、10都府県に発令されている新型コロナウイルスに対応するための緊急事態宣言について、見解を示した。特に関西3府県と愛知、岐阜、福岡の各県と政府の間で調整中とされる宣言の先行解除は、広く気の緩みにつながる「誤ったメッセージを発信することになる危険性がある」と慎重な考えを示した。【吉木ちひろ】

 中川会長は2度目の政府の緊急事態宣言が発令されて以降、その解除の条件は感染状況を示す6つの指標が「ステージ2」に相当する状態にあることか、「ステージ3」であってもそのままの状態が続けば「ステージ2」になることが確実視される状態まで移行することが必要との考え方を示してきた。「ステージ4」からの脱却を前提としている政府方針よりも慎重な対応を必要とする立場を取っている。

 現状については、全体的に改善傾向にあるものの「ステージ2には程遠く、新規感染者数の減少のスピードも鈍化し、下げ止まりの兆候も見られる」と指摘。首都圏での医療提供体制の逼迫状況も懸念事項として挙げた。
 また、中川会長が京都・大阪・兵庫の各医師会会長から、地域の状況についてヒアリングしたところ、「変異株に対する懸念もあり、解除は慎重であるべき」(松井道宣・京都府医師会会長)、「感染者が下げ止まっている。第4波が気になっている。解除は段階的に慎重に」(茂松茂人・大阪府医師会会長)などと、いずれも高い緊張感や社会経済活動の再開について慎重な考えを共通して持っていたという。

 中川会長自身の認識としても、国内でもウイルスの変異株が連日確認されている一方で、「世間の危機感や緊張感は薄れてきている」と指摘。この段階で対策を緩めれば感染が再び急速に拡大し、ワクチン接種の障害にもなり得るなどと主張した。さらに、宣言の前倒しでの解除は、国民に対して「もう大丈夫なんだ」と受け止められかねないと述べ、積極的疫学調査が可能な段階まで徹底して感染者数を抑え込む対策が必要だと強調した。

出典:医療介護CBニュース