2019年08月06日 13:05
「夏かぜ」の代表的な疾患で、高熱や口腔内の水疱などを伴うヘルパンギーナが流行している。国立感染症研究所が6日に公表した7月22日から28日までの週の患者報告数によると、29都道府県で前週よりも増えた。特に東日本で流行が拡大しており、山形、新潟、栃木の3県で警報レベルとなっている。【新井哉】
この週の全国の患者報告数(定点医療機関約3000カ所)は、前週比約17%増の1医療機関当たり2.97人。これまで患者報告数が増加傾向だった西日本では、前週と比べて報告数が減った県が出てきており、流行が東日本にシフトしてきたことがうかがえる。
都道府県別では、山形が6.79人で最も多く、以下は、新潟(6.49人)、栃木(6.31人)、埼玉(5.66人)、富山(5.28人)、群馬(5.06人)、東京(4.98人)、宮城(4.43人)、静岡(4.01人)、茨城(3.88人)、山口(3.7人)、香川(3.64人)、佐賀(3.52人)、神奈川(3.46人)、愛知(3.12人)などの順だった。
山口県は7月31日、この週の患者報告数が警報基準値(6.0人)を上回ったため、「ヘルパンギーナ警報」を発令。飛沫や接触で感染することに触れ、手洗いの徹底に加え、タオルの共有をやめるよう呼び掛けている。新潟県も「例年夏季に報告数が増加する疾患であり、社会福祉施設等における集団発生の報告もあることから、十分な注意が必要」としている。
ヘルパンギーナは、高熱や口腔内の水疱・発赤を主症状とするウイルス性疾患で、乳幼児が罹患するケースが多い。2-7日の潜伏期間後、38度以上の発熱や口腔内に水疱が現れる。
2-4日で熱が下がり、7日程度で治癒する。熱や口腔内の痛みで食事や水分を十分に取れず、脱水になるほか、熱性けいれんや髄膜炎、心筋炎といった合併症を生じる可能性がある。患者のせきや、つばなどに含まれるウイルスによって感染する。