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医療・介護ニュース

救急現場のメディカルコントロール体制実態調査へ-総務省消防庁

2019年08月06日 12:35

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 5日に始まった2019年度の総務省消防庁の「救急業務のあり方に関する検討会」は、メディカルコントロール(救急救命士を含む救急隊員が行う応急処置の質を保証する仕組み、MC)に求められる役割の多様化を受けて、実態調査に乗り出す。地域差の大きいMC体制の先進的な取り組みなどのヒアリングを行いながら、現場の課題とMCに求められる役割を整理する。【吉木ちひろ】

 9月から10月にかけて実施する調査では、▽救急隊員に対して医師が指示・助言を行う体制(オンラインMC体制)▽救急活動の事後検証体制▽救急救命士の質の向上を目的とした病院実習を含む再教育の状況・内容―を中心としたMC体制に求められるコア業務の状況を把握する。MC体制のあり方について消防庁は、20年度以降も同検討会で、機能の充実度合いや課題、今後の発展の方向性などを継続して議論する考え。

 救急救命士が救急車に同乗する割合は、救急救命士制度が創設された1991年以降上昇を続け、2018年には99.1%に達した。病院前救護の救急処置基準(プロトコール)の作成や地域の医療機関と消防機関の連絡調整などを担う地域MC協議会は全国の各地域に18年8月時点で251拠点設置されている。各都道府県には、地域MC体制間の調整を担う都道府県MC協議会の設置が義務付けられている。

 消防庁救急企画室の担当者は同検討会で、MC体制に「期待される役割が大きく多様化している」例として、精神疾患・受け入れ困難症例の対応や感染症防止対策、DNAR(患者本人や代理者の意思決定を受けて、心肺蘇生法を行わないこと)事案などを挙げた。実態調査でコア業務の状況の把握を進めながら、こうした新たな役割について整理を進める。

出典:医療介護CBニュース